第2回朝米首脳会談の開催地として、ベトナムの政治の中心地である首都ハノイが、リゾート都市ダナンとの激しい“競合”の末に最終的に選ばれたのは、両指導者の警護および身の安全問題が最も大きく考慮された結果とみられる。匿名を求めた消息筋は「ダナンが有力視されたのは事実」だとしながらも、「しかし、海外メディアにダナンを有力な場所としてあまりにも早く取り上げられ、安全対策に対する憂慮が持続的に提起された」と話した。
スティーブン・ビーガン米国務省対北朝鮮特別代表とキム・ヒョクチョル北朝鮮国務委員会対米特別代表の交渉で最終決定されたとみられる“ハノイへのUターン”は、米国側が北朝鮮の立場をかなり配慮したものとも言える。これまで米国はダナンを、北朝鮮は大使館のあるハノイ開催を主張してきたからだ。CNNは、北朝鮮が要求したハノイで首脳会談を行うことにしたのは、米国の「小さな譲歩」と言えると報じた。
ダナンは、中国の南シナ海への進出を阻止するための米越協力の象徴的な場所であることも、北朝鮮にとっては気にせざるを得ない点だったかもしれない。実際、米空母カールビンソン号が昨年3月、ダナンに寄港し、中国を刺激したことがある。ダナンで朝米首脳会談が開かれる場合、北朝鮮と米国が協力して中国に対抗する形になり、これは今後の朝米交渉で中国の協力が絶対的な状況で、北朝鮮に外交的負担になるという点も考慮されたものと見られる。
ハノイには朝米両国の大使館が設置されており、首脳会談の実務準備にも最適の場所とされる。ビーガン代表とキム・ヒョクチョル代表を中心にした両国代表団は17~23日ごろ、ハノイで後続実務交渉を行うことにした。ハノイは2006年11月にアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を開くなど、主要な外交行事を行う経験とインフラも備えている。
朝米首脳の会談場所としては、APEC首脳会議が開かれた国立コンベンションセンター(NCC)が有力視されている。会談施設が整っており、トランプ大統領の宿舎になる可能性が高いJWマリオットホテルからも近い。マリオットホテルは都心にありながらも、入り口を封鎖すれば外部からの接近を徹底的に遮断できる。2016年と2017年にそれぞれハノイを訪問したバラク・オバマ米大統領と習近平中国国家主席、昨年ベトナムを国賓訪問した文在寅(ムン・ジェイン)大統領もこのホテルを利用した。トランプ大統領の宿泊先としては、2017年ハノイ訪問の時に泊まったソフィテル・メトロポールホテルも候補とされている。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の宿泊先としては、メリアホテルが挙げられている。ベトナムを訪問する北朝鮮側の要人が主に利用する5つ星ホテルで、駐ベトナム北朝鮮大使館からも比較的近い。
平壌(ピョンヤン)とハノイの直線距離は約2760キロメートルだ。 金委員長の専用機「大鷹」(IL-62M、航続距離1万キロメートル)で十分に到達できる距離だ。金委員長は1回目の会談で、シンガポールに向かって3機の飛行機を飛ばしたが、搭乗したのは大鷹ではなく、中国の李克強国務院首相が外国歴訪の時に利用するエアチャイナ専用機だった。しかし、今回は大鷹に乗って移動する可能性が高いと見られている。