米国のスティーブン・ビーガン国務省対北朝鮮特別代表が先週、北朝鮮を2泊3日で訪問し、北朝鮮側と第2回朝米首脳会談のための実務協議をして帰還した。具体的な協議内容は公開されなかったものの、ソウルでビーガン代表に会った当局者は一様に「朝米間で生産的な協議がなされた」「北朝鮮は例になく積極的だったという」と伝えられているのを見ると、両国間で少なからぬ進展があったと思われる。米国のトランプ大統領は9日、朝米首脳会談の開催地としてベトナム・ハノイを公表し、「平和の進展のために金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会うことを待ちこがれる」と期待感を隠さなかった。今月末に開かれる同会談の展望をいっそう明るくする大きな段階と読みとれる。
北朝鮮と米国は、これまで北朝鮮の非核化とそれに伴う米国の「相応の措置」をどのように交換するかなどをめぐり協議してきた。金正恩委員長は昨年9月の平壌共同宣言で、米国の対応を前提に寧辺(ヨンビョン)の核施設を含むプルトニウムやウラン濃縮施設の廃棄などを約束した。これに対して米国の対応は、終戦宣言や連絡事務所設置、北朝鮮の人道支援拡大をまずは検討し、非核化完了後に北朝鮮制裁解除を進めるという計画だと伝えられている。トランプ大統領は「北朝鮮が金委員長の指導力のもと経済強国になるだろう」と述べ、北朝鮮の「経済優先」路線に対する支持の意思を改めて表した。
ビーガン代表が朝米実務交渉後、直ちにソウルに戻り大統領府や外交部などの韓国外交当局者をはじめ、与野党の政治家とも交渉の結果を共有する姿は心強い。韓米間の実質的な協力と協調がうまく行っていることを表わしている。一部の保守系マスコミが北朝鮮に対する政策をめぐり韓米間で不協和音が出ているという懸念をふりまいていたものの、根拠のない杞憂ということを示している。今後も韓米が緊密な協力体制を維持することを期待する。
米国の国務省が首脳会談前に追加の実務協議をもう一度行なう計画だと明らかにした点を考慮すると、今回の協議で朝米間の意見の相違はすべて解消されてはいないようだ。長年の北朝鮮の核問題が一度の話し合いで解決されはしないだろう。しかし、両国の指導者の意思が確かだということが確認されただけに、追加協議で接点を見い出し、第2回朝米首脳会談の成功の土台を用意すると期待したい。