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「非同意姦淫罪新設の必要性」…アン・ヒジョン前知事事件に触発された法案論議に弾み

登録:2019-02-07 08:55 修正:2019-02-09 09:25
刑事政策研究院の国会報告書 
「性的自己決定権を消極的に解釈する司法府の慣行が 
正当化されるなら、必要性はさらに大きい」 
ソン・ギホン議員「刑法改正を本格的に論議」
アン・ヒジョン前忠清南道知事が今月1日午後、ソウル高等裁判所で開かれた2審の判決公判に出席するため裁判所に向かっている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 国会の法制司法委員会(法司委)の研究依頼を受けた韓国刑事政策研究院が、脅迫・暴行がなくても相手の意思に反する性的行為を処罰する内容の「非同意姦淫罪」を新設する必要があるという趣旨の研究結果をまとめた。アン・ヒジョン前忠清南道知事の性的暴行容疑事件をきっかけに触発された「非同意姦淫罪」新設の議論が、刑法改正につながるかが注目される。

 ハンギョレが6日、法司委所属の共に民主党幹事のソン・ギホン議員を通じて受け取った刑事政策研究院の研究依頼報告(「性的自己決定権の合理的保護のための性暴力犯罪に関する法制の改善方向研究」)によると、研究院は「非同意姦淫罪の新設を判断するに当たり、司法府が性的自己決定権の忠実な保護という観点でただしく機能したのか問わなければならない」とし、「司法府の厳格ないし消極的な解釈の慣行が正当化されるなら、『非同意姦淫罪』の新設の必要性はますます大きくなる」と明らかにした。さらに「もはや司法府による性的自己決定権の忠実な保護を期待できないならば、もうボールは立法府に渡ったと言わざるを得ない」とし、「主な先進国で、多くの痛みを経験したが最終的に非同意姦淫罪の導入で方向を定めた場合が多い」と説明した。そのうえで研究院は「本研究は非同意姦淫罪の新設に好意的」という意見を述べた。

 研究院は、現行法上の強姦罪の構成要件の問題も指摘した。判例を見ると、強姦罪が成立するには暴行または脅迫が存在するだけでは十分でなく「被害者の反抗が不可能であったり、顕著に困難な程度」を要求するが、これ自体が矛盾するという点だ。報告書は「反抗できない状況で、反抗すればようやく認められる強姦罪の認定基準自体が矛盾を孕んでいる」とし、「強姦罪被害者の場合、特に供述の真実性を疑い、これによって刑法の解釈を決める方式は他の犯罪と比較しても妥当でない」と指摘した。研究院では「刑法第299条」を改正し、「相手の明示的な意思に反して姦淫、類似姦淫した者は1年以上の有期懲役、相手の明示的な意思に反してわいせつ行為を行った者は7年以下の懲役または1千万ウォン(約99万円)以下の罰金に処する」という案などを提示した。

 「非同意姦淫罪」の導入の必要性は、昨年8月にソウル西部地裁が「被害者に何らかの威力を行使したと見るだけの状況が見られない」としてアン・ヒジョン前知事に無罪を言い渡したことをきっかけにさらに大きくなった。同年8月、正義党のイ・ジョンミ議員が「非同意姦淫罪」の新設を盛り込んだ刑法改正案を代表発議した。同年9月には、ナム・インスン(民主党)、ナ・ギョンウォン(自由韓国党)、キム・スミン(正しい未来党)、チョ・ベスク(民主平和党)など与野党4党の女性議員13人が、同様の内容の刑法改正案を共同発議した。現在「非同意姦淫罪」導入と関連し、国会に係留中の刑法改正案は9件だ。法司委1小委は「非同意姦淫罪」の必要性を問い、他の罪との量刑を比較するため、今回研究を依頼した。ソン・ギホン議員は「研究依頼報告書が出たので、1小委で本格的に論議を始める」と明らかにした。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/881164.html韓国語原文入力:2019-02-0707:04
訳M.C

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