ドナルド・トランプ米大統領は19日(現地時間)、ホワイトハウスで記者団に「(北朝鮮と非核化だけではなく)多くのことについて話し合っている」と明らかにした。前日の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長との会談で、北朝鮮の“追加の非核化措置”と交換する米国の“相応措置”も話題にあがったという意味だ。北朝鮮側が提起してきた相応措置の核心は“制裁緩和”だ。
今回、制裁問題がどれほど話し合われたかは確認されていない。むしろ、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は18日、トランプ大統領と金英哲副委員長の面会直後の会見で、「北朝鮮に対する制裁と圧迫の持続」を強調した。米国はまだ「制裁緩和に前向きではない」というのが消息筋の話だ。にもかかわらず、「制裁の緩和問題は2回目の朝米首脳会談の成否を分ける核心議題」(外交安保分野高官)であり、「結局は金委員長とトランプ大統領の談判で方向が決まる問題」(元高官)という指摘が多い。
“制裁緩和”には二つの方法がある。第一に、民生分野に限って制裁を解除する国連決議を再び採択する“正攻法”である。例えば、北朝鮮の水産物や農産物、繊維製品、石炭などの輸出を認めることだ。これまで国連安全保障理事会は「民生目的以外の石炭の輸出禁止」(決議第2270号、2016年3月2日)→「水産物・石炭の輸出禁止」(決議第2371号、2017年8月5日)→「繊維製品の輸出禁止」(決議第2375号、2017年9月11日)→「農産品の輸出禁止」(決議第2397号、2017年12月22日)の順で制裁の範囲を広げてきた。これをもとに戻す“制裁緩和”の決議を採択すればいいが、「米国の国内政治状況を考慮すると、すぐには現実性が低い」というのが大方の見解だ。
第二に、「解釈による制裁緩和」だ。国連の最後の制裁決議である第2397号は「事案別の免除決定」(第25条)と共に、「朝鮮半島と北東アジアの平和・安定の維持、対話による解決努力、緊張緩和活動」を「歓迎・強化」する条項を設けている。米国の対北朝鮮制裁強化法にも「民主主義的朝鮮半島の平和的統一への貢献の増進」を目的に、制裁を免除できる条項がある。政治的な意志と動力さえあれば、今でも国連・米国の既存制裁に変化を与えなくても、開城(ケソン)工業団地を含む南北の大規模経済協力事業に“制裁免除”が可能だ。対北朝鮮制裁問題専門家のキム・グァンギル弁護士(法務法人地平)は「国連決議の採択による制裁緩和よりも、既存の規定を援用した南北経済協力事業に対する“(事業別)包括免除”案がより現実的だろう」と指摘した。これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、9月平壌宣言や新年の辞、年頭記者会見などを通じて、金剛山(クムガンサン)観光と開城工団事業の再開への意欲を示してきた。しかも、金剛山観光事業は厳密な意味で国連・米国の制裁対象ではないため、政治的動力さえあれば再開が可能だ。