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EU、ILOの核心協約の批准求め韓国に対するFTA紛争解決手続きを開始

登録:2018-12-18 00:05 修正:2018-12-18 08:17
7年間履行しなかったとして政府間協議を開始 
直接制裁につながらなくても 
国家信頼度に打撃を与える可能性も 
韓国「社会的対話で批准を推進」
全国民主労働組合総連盟の組合員たちが10月12日午前、政労使代表者会議が開かれるソウル新ムンアン路Sタワー前で「ILO核心協約の批准と7大立法課題の年内処理を求める記者会見」を行っている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 欧州連合(EU)が国際労働機関(ILO)の核心協約の批准を履行していない韓国政府を相手に、韓-EU自由貿易協定(FTA)上の貿易紛争解決手続きを開始した。EUが労働権の条項を問題視し、自由貿易協定の紛争解決手続きに入ったのは、史上初めてだ。韓国政府は韓-EU自由貿易協定を締結する当時、批准の履行を約束したが、EUの度重なる履行要求にもかかわらず、「北朝鮮と戦争中」「社会的対話を通じて話し合っている」として、履行を先延ばししてきた。

 17日、雇用労働部はEUが韓国政府に対し、韓-EU自由貿易協定の義務事項である国際労働機構の核心協約の批准が7年間履行されないとして、「政府間協議」を開始したと明らかにした。「政府間協議」は自由貿易協定上の紛争解決の手続きで、政府間実務協議と「貿易と持続可能な発展委員会」を通じて解決策を模索する制度だ。両者が90日以内に接点を見出せない場合は、「専門家パネル」を召集できる。韓国やEU、第三国から6人ずつ、計18人で構成される専門家パネルは、90日以内に勧告報告書を提出しなければならない。勧告を履行するかどうかは、貿易と持続可能発展委員会で追って点検する。国際労働機関総会が採択した8つの核心協約には、結社の自由や強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別禁止など労働者の基本権利が含まれている。韓国はこのうち「結社の自由」(第87号・第98号)と「強制労働の撤廃」(第29号・第105号)の協約をまだ批准していない。

 EUは自由貿易協定の締結直後から重ねて協約履行を要求してきた。韓国とEUの自由貿易協定は、2011年5月に国会で批准案が可決され、同年7月から効力が発生した。EUは翌年から協定の履行を点検する協議体の「貿易と持続可能発展委員会」で、核心協約の批准を圧迫してきた。韓国政府は今年10月、ベルギーのブリュッセルで開かれた韓-EU首脳会談でも、「自由貿易協定の労働基本権に関する約束の遵守」を求められた。これに先立ち、昨年3月にブリュッセルで開かれた自由貿易協定持続可能発展委員会の第5回会議で「韓国政府は(核心条約の批准要求に対し)、厳密に言えば、韓国が北朝鮮と戦争中だという事実を強調した」とEUの報道資料が伝えている。

 核心協約の批准を国政課題とする文在寅(ムン・ジェイン)政権は「核心条約の批准は社会的対話を通じて推進する」という態度だ。今回の紛争解決手続きの開始についても、同様の立場を繰り返している。しかし、EUは、社会的対話は十分な努力ではないとして、具体的な批准日程を要求している。社会的対話の中心である経済社会労働委員会で、経営界が核心協約の批准に強く反対しており、論議すらまともにできない状況だ。

 雇用部は「韓国とEUの自由貿易協定上、労働権の条項では経済的制裁は不可能だ」としながらも、「批准が遅れれば、EUはあらゆる方法で圧迫を強めるだろう」と話した。「政府間協議」の結果は、直接的な制裁につながらなくても、国家信頼度に打撃を与えかねない。ノ・ジュヒ民主社会のための弁護士会国際通商委員会副委員長は「核心協約の批准をしない相手に不利益を与える方向で、韓-EU自由貿易協定を改正しようという声がEU内部で高まるだろう」と説明した。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/874779.html韓国語原文入力:2018-12-17 21:18
訳H.J

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