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EU「民主労総委員長の釈放」持ち出すと、FTAフォーラム退場した韓国経営界

登録:2018-04-13 09:48 修正:2018-04-13 10:59
EU側諮問団「韓国経営界、労働協約の諮問を妨害して駄々こねている」 
「労働法遵守」政府間協議を要求か…経営界は「裁判所で判決出た事案」と反発
今月12日、ソウル汝矣島で開かれた「国際労働機構(ILO)協約シンポジウム」の事前懇談会で、ヨルゴス・アルティンチス韓国・欧州連合自由貿易協定市民社会フォーラム諮問委員が発言している=韓国労総提供//ハンギョレ新聞社

 「韓国経営者側は駄々をこねている」

 12日、韓国・欧州連合(EU)自由貿易協定(FTA)のヨルゴス・アルティンチス諮問委員が発した言葉だ。彼は「11日、両国の自由貿易協定の労働条項履行を検討する市民社会フォーラムで韓国経営者総協会(経総)と大韓商工会議所が一方的に退場するなど、諮問の過程を事実上妨害し、駄々をこねた(spoiled child)」とし、韓国経営者側を批判した。これと関連して彼は「欧州連合が韓国に『政府間協議』を要求する可能性がある」と明らかにした。

 2010年に韓国と欧州連合が結んだ自由貿易協定「第13章 貿易と持続可能な発展」には、労働と環境に関連する条項が書かれている。双方が作った「持続可能発展委員会」は、13章の条項の相互履行を点検し、韓国と欧州連合の労使およびNGOで構成された「市民社会フォーラム」を別途に構成し、協定履行に関する諮問を受ける。どちらか一方がこれを守らない場合、他の一方は「政府間協議」を要求することもできる。

 ハンギョレの取材を総合すると、11日午前、ソウルのコエックスで行われた第6回市民社会フォーラムで、韓国経営界を代表して出席した経総・大韓商工会議所は、ハン・サンギュン前民主労総委員長の釈放を要求する諮問の内容に反対して退場し、結論を採択するのに失敗した。韓国経営者側は「すでに裁判所の判決が出た事案なのにハン・サンギュンの釈放を論ずることは司法体系に対する無視」という態度だ。このフォーラムに参加したリュ・ミギョン民主労総国際局長は「すでに国際的に韓国政府が何度も勧告を受けているハン・サンギュンの釈放問題をもう一度勧告しただけなのに、なぜ退場までして反対するのか理解できない」と話した。

 昨年4月25日、国連(UN)の恣意的拘禁に関する実務グループは、ハン前委員長の拘束が国際人権法に反する「恣意的拘禁」に該当すると判断している。国際労働機構(ILO)理事会は昨年11月、「2015年に民衆総決起を組織したり平和に参加したという理由で逮捕されたハン・サンギュンと全ての労組幹部を釈放せよ」と韓国政府に勧告もした。

 欧州連合側関係者は、韓国経営者側の行動がハン委員長の釈放だけでなく、自由貿易協定の労働条項に反対する動きと見ている。アルティンチス諮問委員は「韓国経営者側は事実上、国際的労働制度自体を拒否しているようで、結論を導き出すのに失敗することを望んでいたのではないかと思う。自由貿易協定の労働権の部分を改正し、相手国が労働法を遵守しないときに処置できるようにしなければならない」と指摘した。

 同日の懇談会に出席した他の国際労働組合総連盟の関係者も、韓国の労働基本権に大きな懸念を示した。マクブルー・サハン国際労総法律局長は「韓国では間接雇用労働者・特殊雇用労働者・失業者など、多様な人々の結社の自由と諸権利が深刻に制約されている。労組法上、団体交渉で窓口一本化を強制する点と、労組設立申告が事実上の事前許可制に転落したという点が最も問題だ」と話した。ルワン・スバシンゲ国際運輸労連法律担当は「韓国は刑法314条の業務妨害罪に基づきストライキをした労働者に対する処罰や過度な損害賠償仮差押えを通じた報復措置が深刻な水準」だと指摘した。

 国際労働組合総連合は2014年から毎年約140カ国を対象に、法律的・実質的労働権保障の度合いを評価して世界の労働権利指数(GRI)を発表しているが、韓国は2015年以降ずっと最下位の5等級に分類されている。5等級にはフィリピン・エジプト・バングラデシュ・パキスタン・カンボジアなどが属する。

イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/840357.html韓国語原文入力:2018-04-12 23:36
訳M.C

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