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ILO総会でも冷ややかな労政関係…最低賃金の突破口は“疑問符”

登録:2018-06-07 08:44 修正:2018-06-07 09:52
キム・ヨンジュ長官、キム・ミョンファン委員長、並んでILO総会出席 
キム委員長「補完対策だけでは難しい…政府の態度はいまだ不十分」 
キム長官は演説で「最低賃金」言及せず…民主労総「長官の資格なし」批判
今月5日(現地時間)、スイス・ジュネーブで開かれた第107回国際労働機構(ILO)総会で演説中のキム・ミョンファン民主労総委員長=民主労総提供//ハンギョレ新聞社

 ボーナスと福利厚生費を算入範囲に含めた最低賃金法の改正で、労政関係が急速に悪化した中、国際労働機関(ILO)総会が開かれたスイス・ジュネーブでも労政間の冷ややかなムードが続いた。

 4日(現地時間)から3日間スイス・ジュネーブで開かれた第107回国際労働機関総会に出席中のキム・ヨンジュ雇用労働部長官とキム・ミョンファン民主労総委員長は5日、総会演説場の韓国代表部の席に並んで座り、熱気を帯びた対話を交わした。おおかたキム・ヨンジュ長官がキム・ミョンファン委員長に説明し、キム委員長はときどき頷きながら聞くという様子だった。

 この「ジュネーブ会合」は、二大労総が最低賃金法改正に反発して、最低賃金委員会をはじめとする各種社会的対話への不参加を宣言した直後に行われたものだが、硬直した労政関係の突破口を探すには無理があった。キム委員長はキム長官との対話の後、ハンギョレの取材に応じ「キム長官と最低賃金への算入範囲の再編に問題があり補完が必要だという共通認識を持った。だが、今は政府の補完対策だけでは問題解決が難しい。大統領府・政府・与党が大きな枠組みで最低賃金引き上げの基調を守って行くという言及がいまだ不十分だ」と話した。

 同日、キム委員長は韓国労働界を代表した演説でも最低賃金法の改正を言及した。総会演説のテーマでもある「働く女性」をテーマにしたが、これを国内の懸案と関連づけたのだ。キム委員長は「就業女性の圧倒的多数が非正社員で、最低賃金水準に止まっており、最低賃金の引き上げが女性労働者の賃金引き上げに大きな影響を与えている。韓国の所得不平等を改善するためには、低賃金労働者の賃金を削減する制度を作るのではなく、低賃金の長時間労働で労働者を絞りあげ成長してきた財閥に責任を問わなければならない。民主労総はさらに大きな力を集め、『最低賃金削減法』を必ず廃棄させる」と話した。

 一方、キム長官は最低賃金への算入範囲問題については言及を避けた。キム長官は演説で、拠点型公共職場への保育所新設・職場内セクハラに対し厳しく処置・労働時間の短縮など、文在寅(ムン・ジェイン)政権の関連政策だけを説明した。民主労総はキム長官の演説直後に論評を出し、「国際労働機関総会の演説で最低賃金について一言も言及しなかったキム・ヨンジュ雇用部長官は長官の資格がない」と批判した。

ジュネーブ/イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/847899.html韓国語原文入力:2018-06-06 20:40
訳M.C

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