本文に移動

「サムスン白血病」論争、11年目にして終止符…被害者全員に補償

登録:2018-11-02 22:58 修正:2018-11-03 08:18
調停委最終案をサムスンとパンオルリムが「受け入れ」 
流産・遺伝疾患も補償…最大1500万円
サムスン半導体工場で働き白血病で死亡し半導体工程の職業病論議を初めて世に知らせた故ファン・ユミさんの11周忌である3月6日、サムスン労災死亡労働者追悼の日の行進の参加者らが瑞草区のサムスン電子前のパンオルリム座り込み現場へ向かっている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子の半導体とLCD工場で働いて白血病やがんなどにかかった労働者全員が補償を受けることになった。当該事件の当事者であるサムスン電子と、「半導体労働者の人権と健康守り役」(パンオルリム)は、この日発表された仲裁委員会の案をすべて受け入れる意向を明らかにした。これで10年以上にわたり社会的な議論を巻き起こしてきた「サムスン白血病問題」が事実上、終息する局面を迎えた。

 「サムスン電子の半導体など事業場での白血病など疾患発病に関する問題解決のための調停委員会」(委員長キム・ジヒョン元最高裁判事)は1日、最終的な仲裁裁定の内容を記した報道資料を出した。主な内容を見ると、1984年5月、サムスン電子初の半導体量産ラインである器興(キフン)工場の竣工以降、半導体とLCDのラインで1年以上働いたサムスン電子の労働者はもちろん、社内協力会社の労働者のうち、希少疾患・難病にかかった人はすべて補償の対象となった。今後の発病まで考慮し、2028年10月を1次期限として、以後は10年ごとに再び決めることにした。

 支援の対象となる疾病の範囲は、白血病・肺がんなどこれまで当該事業場で問題になったほぼすべてのがんが含まれた。他の希少疾患や流産のような生殖疾患、子どもに遺伝する疾患も補償対象とした。補償金額は疾病の種類によって、がんの場合最大1億5000万ウォン(約1500万円)まで支援し、希少疾患と子どもの疾患は最初の診断の際に500万ウォン(約50万円)を支援することにするなど、パンオルリム側が当初要求した水準に及ばないレベルで決定された。このような支援補償を担当する機関は、サムスン側とパンオルリムが合意を通じて選定し、独立的に運営される。サムスン側の自主補償案に従わず、パンオルリムの側に残り続けた被害者53人の場合は、従来のサムスン電子の補償規定と今回の仲裁案のうち被害者が有利な方を選択できるようにした。

 補償と共に議論の一つの軸であったサムスン電子の謝罪は、会社側がパンオルリムの被害者や家族を招待し、記者会見などの公の場で代表取締役が謝罪文を直接朗読する方法で行うことになった。最後の焦点となっている再発防止関連対策としては、サムスン電子が500億ウォン(約50億円)の産業安全保健発展基金を拠出し、電子産業をはじめとした労働災害の危険にさらされた労働者の安全と健康を保護し、重大な労働災害の予防に充てる計画だ。調停委員会は11月中にサムスンとパンオルリムが協議した日に協約式を開くことを注文した。

 7月24日、調停委員会の決定に無条件で従うことを決めたサムスン電子とパンオルリム側は、今回の仲裁案を受け入れる方針であり、特に問題なく仲裁手続きが行われる見通しだ。サムスン電子は「仲裁委の労苦に感謝する。最初に仲裁案を条件なしで受け入れるという意思を表明したのできっちり従いたい」と述べた。パンオルリムの活動家のコンユ・ジョンオク氏もハンギョレとの通話で「7月に無条件で合意すると言ったので、合意に至った部分は履行されるだろう」と話した。

チョン・ジョンフィ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/868459.html韓国語原文入力:2018-11-01 22:45
訳M.C

関連記事