李在明(イ・ジェミョン)大統領は韓中首脳会談で習近平主席に、新たなパンダの貸与を要請したという。「第2の福宝(フーバオ)」を期待する声も聞こえるが、動物のことを考えると、あまり喜ばしいニュースとは言えない。
韓国には現在、2016年に貸与された愛宝(アイバオ)と楽宝(ローバオ)に加え、2023年に2頭の間に生まれた睿宝(ルイバオ)と輝宝(フイバオ)の4頭のジャイアントパンダがテーマパークの「エバーランド」に住んでいる。これらのパンダは、他の動物園の動物たちに比べると特別待遇を受けてはいるが、それでも問題がないわけではない。貸与されたパンダの一生が動物の利益よりも両国の外交関係に従属するという事実自体が、倫理的側面で望ましい状況だとは言い難い。2010年に米国のバラク・オバマ大統領(当時)がダライ・ラマとの面談を決めた数日後、中国が米国で生まれたパンダ2頭を回収した事件は有名だ。福宝のように中国国外で生まれたパンダは、遺伝的多様性を維持するという理由で、4歳になると中国に返還される。あらゆる動物は輸送時にストレスを経験し、変化した環境に適応する過程自体がストレスとして作用する。また、中国に返還されないとしても、監禁された状態で一生を過ごさなければならない野生動物の個体数を繁殖によって増やすことは、動物園における動物福祉が損なわれる根本的な原因だ。どんなにかわいらしい人形のような外見を持つ動物であっても、パンダも生息地で最もよく生きていけるよう進化した野生動物であることを忘れてはならない。
科学的研究や保全の側面からも、正当性はないも同然だ。2014年の習主席訪韓の際の首脳会談での共同声明には「パンダの共同研究を支持する」という内容が加えられたが、その後、どれほど意味のある研究成果があったのかは知らされていない。パンダを絶滅危惧種として保護するためには、国家間の貸与よりも、生息地の保全に力を入れるべきだとする指摘もある。報道によると、今回の首脳会談の結果として、韓国の国立公園と中国の絶滅危惧種が生息する黄河デルタ自然保護区を姉妹公園にして、気候変動や自然保全などの環境分野全般にわたり、協力を拡大することにしたという。パンダの貸与はこのような「環境外交」の構図とも合致しない。パンダが一日に消費する数十キロの竹を調達するためにも多くのエネルギーが消費され、韓国とは完全に異なる気候帯に生息する動物に飼育環境を提供するためにも、多くの電力が消費される。清州(チョンジュ)動物園やソウル子ども大公園動物園などの韓国の公立動物園が、ゾウのように韓国の気候と合わない動物種は減らし、韓国在来種の動物の割合を増やそうとしているのには、このような理由がある。
パンダに限らず動物を外交の象徴として用いること自体が、現代にふさわしいのかどうか考える必要がある。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領がトルクメニスタン訪問中に贈られたアラバイ犬をはじめ、外交の象徴として受け取ってきた動物たちは、全国の公立動物園や公共機関に分散して飼育されている。犬の特性を考慮すると、家庭ではなく動物園で一生を展示動物として過ごすことは、よい一生とはいえない。わざわざ生きている動物を使わなくても、動物を通じて外交的成果を上げた事例もある。オーストリアは2021年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領(当時)が訪問した際、シェーンブルン動物園のシベリアトラの後援者として文大統領を指名した。どうしても動物外交が必要なのであれば、クマ飼育産業の消滅後、環境部が保護しているツキノワグマの後見人になるよう提案する。
今回の国政課題には、現政権発足後に初めて「動物福祉」が反映された。動物福祉の概念は、それぞれの動物は独立した存在であり、喜びと苦しみを主観的に感じて体験する「感応力のある存在」である事実から出発する。動物をモノのように借りて返す外交が、はたして韓国が追求する動物福祉の方向と一致するのかどうかを考えてみる必要性がある。国家間の友好を証明するために、わざわざ動物に国境を越えさせる必要はないだろう。外交は人間同士で行えばよい。
イ・ヒョンジュ|動物福祉問題研究所「アウェア」代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )