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サムスン電子が「半導体白血病仲裁」提案を受け入れ、なぜ?

登録:2018-07-22 22:50 修正:2018-07-23 07:13
イ・ジェヨン副会長の裁判控え、一種の“信頼回復策” 
2015年1次調停案は失敗…今回は無条件で受け入れ 
4月、サムスン電子「無労組原則」を破棄したのも同じ脈絡 
「仲裁でなければ解決困難」判断…調停委の背水の陣も効果
勤労福祉公団の壁面にサムスンに対する抗議の紙が貼られている=チェ・ヒョンジュン記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子が調停委員会の“最終”仲裁提案を受け入れたのは、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が贈収賄罪に対する最高裁(大法院)裁判を控えた状況が相当な影響を及ぼしたと見られる。イ副会長の社会的信頼を回復するための方案の一つとして10年に及ぶ慢性的「半導体白血病問題」解決を受け入れさせたという推測だ。

 いわゆる“白紙委任”と呼ばれる今回の仲裁方式は、いかなる結論でも受け入れることを前提とするために、補償の主体であるサムスン電子の立場としては相当な負担だ。仲裁の時期と過程、主題など概略的枠組みはできているが、具体的な内容が何かは分からないためだ。それでもサムスン電子は、半導体白血病問題が発生して10年目の今月21日“失”より“得”が大きいとみて、調停委の仲裁提案を受け入れた。

 これに先立って2015年に調停委が試みた1次調停の時は、調停案の妥結直前まで行きはしたが、結局サムスン電子が調停委の公益法人設立方案を拒否し失敗に終わったことがある。その後、半導体白血病問題はサムスン電子の後進的労働人権を見せる代表事例として残ったが、サムスン電子は積極的な解決の動きを見せなかった。

 サムスンがイ副会長の裁判を控えて取った信頼回復の事例として、今年4月にサムスン電子の子会社であるサムスン電子サービスが協力会社職員8000人余りを直接雇用することにした決定がある。この決定で、50年近く続いてきたサムスン電子の無労組原則が崩れたが、当時本格化していた検察捜査に対する苦肉の策であり、同時に裁判を控えたイ副会長の信頼回復策という解釈が出てきた。現在、サムスンはチェ・スンシル事態とその後に火が点いた種々の問題で底まで落ちたイ副会長とグループ全体のイメージを改善するため苦心を繰り返している。

 ある財界関係者は「半導体白血病イシューは、10年続いてきたサムスン電子の慢性的問題」として「無労組問題もそうで、白血病問題も今この時点で解決に乗り出したのを見れば、イ副会長の裁判を意識した措置と見える」と話した。

 サムスン側は、仲裁の受け入れが裁判を意識した措置ではないとの意向を明らかにした。あるサムスン側関係者は「仲裁提案は今回初めて出てきた。過去に拒否して今回受け入れたとすれば、そのように見ることができるが、今回は問題を解決できると見たので受け入れた」と話した。

 仲裁方式でなければ半導体白血病問題を解決できないという認識も作用したと見られる。サムスン電子は過去10年間、半導体白血病問題を解決するために直接対話、代理人交渉、調停など様々な方法を通じて被害者および被害者団体と疎通してきたが、結局問題を解くことができなかった。調停案を提示して両側がこれを受諾または拒否を決める方式では、乱麻のように複雑にからまった状況を解決できないということを認識したということだ。

 調停委の“背水の陣”も効果を上げた。調停委が、サムスン電子とパンオルリムに送った提案書によれば、「再び調停手続きを進め問題解決を終えるか、あるいは調停委員会の活動終結を宣言し新たな解決方案を探すよう道を開くことが望ましいと判断した」と明らかにした。今回の提案が事実上最後の活動になりうるとして両側を圧迫したわけだ。ある財界関係者は「事前に受け入れを前提とした方式でなければ、この問題の解決は難しいと見たのだろう」としながら「サムスン電子とパンオルリムがそれなりに信頼を持っているキム・ジヒョン調停委員長がいる時に問題を解決しなければならないと考えたのだろう」と話した。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/854311.html韓国語原文入力:2018-07-22 20:38
訳J.S

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