大統領直属の国民経済諮問会議が23日、分科会議を開き、来月の11月までに労働時間短縮関連実行策をまとめると発表した。今年7月の週52時間制度の導入当時、6カ月間の取り締まり・処罰猶予方針を明らかにした政府が、今回は「補完策作り」を公式化したわけだ。
国民経済諮問会議幹事を務めるキム・ヒョンチョル大統領府経済補佐官は、同日の会議後に行われた記者会見で「(週52時間勤務制が)成功裏に定着できるよう、ソフトランディング案を作ることで皆が共感した」とし、「政府は産業現場の実態調査と労働者や経営者など関係者らの意見を広く調査し、来月まで労働時間短縮制度の改善案を用意することにした」と述べた。「週52時間」労働制は、常用労働者300人以上の企業を対象に、今年7月から施行されたが、政府は年末まで取り締まりと処罰を6カ月間猶予することにした。企画財政部や雇用労働部などは、来月中旬までに週52時間勤務制に対する企業や労働者の意見を集約するなど、実態調査の結果を発表する。
「補完策作り」をきっかけに「週最大52時間勤務制」の核心争点である弾力的労働時間制度(弾力労働制)の単位期間を増やす問題をめぐる議論が再燃する見通しだ。弾力労働制は、仕事が多い期間の労働時間を増やし、他の期間の労働時間を減らして、平均的に法定労働時間(週40時間)を合わせる労働形態だ。たとえば、仕事が集中する週に40時間を超えて50時間を働いたなら、その次週は10時間を引いた30時間だけ働くやり方だ。運輸や通信、医療サービス業のように、連続して働くのが効率的だったり、冷暖房装備製造業や飲食サービス業のように、特定時期に仕事が集中する業種で、活用される余地が大きい。弾力労働制を実施するためには、就業規則に反映するか、労使の合意が欠かせないが、就業規則で定める場合は単位期間を2週間以内に、労使が合意した場合には3カ月まで定めることができる。使用者側はこれを6カ月や1年まで拡大することを要求してきた。
今年初め、与野党は労働基準法の改正過程で、すべての事業場に労働時間の短縮が適用される2022年末までに結論を出すことで合意した。ところが、この時期が今年中に、4年も繰り上げられたのだ。その兆しは、従業員300人以上の事業所や公共機関に、週最大52時間勤務制が適用される直前の今年6月から始まった。
共に民主党のホン・ヨンピョ院内代表は今年6月、大韓商工会議所などとの懇談会で「弾力労働制の単位期間を3カ月から6カ月に増やす案を考慮できる」と述べた。この過程で、政府は異なる意見を提示する場面もあった。キム・ヨンジュ雇用労働部長官は、ホン代表の発言について「弾力労働制を活用する企業は全体の3.4%にすぎない。単位期間を6カ月に増やせば、労働時間短縮の意味がなくなる」と反対意見を表明した。単位期間が増えると、その分週52時間を越えてもいい期間が長くなり、制度導入の効果がなくなるということだ。しかし、雇用不振などの状況とあいまって、使用者側の主張に重きを置く方向に流れた。キム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官は労働時間短縮施行直前の6月26日に開かれた経済懸案点検会議で、「取り締まりよりは制度定着に焦点を当て、困難を解消することに力を入れる」としたうえで、「弾力労働制度の単位期間の拡大など改善策も早急にまとめる」と述べた。
一方、労働界は「労働時間短縮の趣旨と意味を薄れさせる措置」だとして、反発している。増える労働時間への賃金補填がきちんと行われなかったり、常時的な弾力労働制の実施により、労働時間の短縮自体の意味がなくなるという懸念の声もあがっている。雇用労働部の関係者は23日、「弾力労働制の単位期間の拡大は重要な検討事項の一つだが、賃金損失など労働界の懸念を考慮し、バランスの取れた制度改善策を講じるつもりだ」と話した。