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家事労働の価値評価「年70万円の安労働扱い」「影労働を初めて数値化」

登録:2018-10-09 08:32 修正:2018-10-09 16:10
[家事労動価値評価“交錯する反応”] 
「評価結果の活用法を探そう」という肯定のなか 
男女の賃金格差を反映した評価方式 
家事労働の時間を過小推定したという批判も
無給家事労動の経済的価値はどれくらいだろうか。8日、統計庁が初めて評価結果を発表した=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「家事労動を年俸710万ウォン(約70万円)の安労働と過小評価した」

 「それでも見えなかった家事労動を可視化したということ自体に意味がある」

 統計庁が8日に発表した「無給家事労動の価値評価」の結果をめぐり、女性学者の意見は交錯した。家事労動の性格、評価方式など、様々な敏感な論争の視点が重なっている事案であるためだ。

 一部の女性学者たちは、養育・介護など家庭における女性の役割を強調することが歴史的に女性の労働市場への進入を妨げ、性別分業を固着化する根拠になったという点に注目する。無給家事労動を経済的価値に換算することも、「家事労動はこんなに重要だから女性は家庭を守れ」という論理として活用されうるためだ。イ・ジュヒ梨花女子大学教授(社会学)は「欧州のように女性の家事労動の価値を強調して児童手当などを支給する制度が『性平等の向上』にはあまり役立たない」とし、「家事労動の価値を経済的に完璧に換算できるかどうかは、慎重に解釈する必要がある」と指摘した。

家事労働の価値評価結果//ハンギョレ新聞社

 食事の準備や掃除、子どもの世話などの「影労働」を数値化して価値を認めたこと自体には意味があるという見解もある。専業主婦が受け取る保険金などを計算する際、日雇いの労賃単価を基準にすることはあったが、これまで家事労働は労働の価値として認められない典型的な「不払い労働」(unpaid labor)だった。キム・ジョンスク韓国女性政策研究院先任研究委員は「今年初めて発表された評価結果であるため、年間710万ウォンが多いか少ないかを考えるよりも、今後、無給家事労動の価値評価の結果をどのように活用できるかを建設的に議論することが必要だ」と評価した。

1当たりの無給家事労動の価値//ハンギョレ新聞社

 家事労動の価値評価方式については論争の余地が残っている。例えば、「食事の支度」という無給家事労動の価値を評価するとき、統計庁は調理・飲食サービス従事者の平均名目賃金を男性と女性を別々に計算して適用した。雇用労働部の雇用形態別労働実態調査で、職種別に男女の賃金格差が表れたとすれば、その格差が無給家事労働でもそのまま引き継がれるということだ。ユン・ジャヨン忠南大学教授(経済学)は「女性たちはすでに既存の労働市場でも性差別的な賃金を受けているのに、これを無給家事労動評価にもそのまま引き入れ、女性の家事労働を過小評価するのは問題」と批判した。今回の発表で無給家事労動価値は時間当たり1万569ウォン(約1050円)、年俸に換算すると1人当たり710万8千ウォン(約70万8000円)と出た(2014年基準)。

 家事労働時間を1日平均2時間15分に過小推定したという批判も出ている。シン・ギョンア翰林大学教授(社会学)は「統計庁の生活時間調査では子どもをお風呂に入れたり食べさせたり、食事を準備することが表示されるだけで、ほとんどが情緒的で感情労働である家事労働がまともに推算されていない」と話した。共働きの女性たちは制限された時間で子どもの教育など多くの役割を負担しなければならないため、1時間を3時間のように使う「圧縮的時間経験」(チョ・ジュウン『企画された家族』)をするという説明だ。シン教授は「家事労動の定義、経済的価値を換算する単価測定方式などに対する新たな社会的論議と合意が必要だ」と指摘した。

ファン・イェラン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/865003.html韓国語原文入力:2018-10-08 23:25
訳M.C

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