政府が4・27板門店(パンムンジョム)宣言の合意事項の履行に向けた経済協力基盤造成と民生協力支援のための来年度予算を、今年(4990億ウォン)より1.76倍の8803億ウォン(約882億円)に増額編成した。離散家族交流支援予算は今年の120億ウォン(約12億円)より2.8倍増加した336億ウォン(約33億7千万円)、社会文化交流支援は、今年の129億ウォン(約12億9千万円)から1.59倍の205億ウォン(約20億5千万円)を編成した。
統一部当局者は28日「南北協力基金が今年9624億ウォン(約964億4千円)から1380億ウォン増額され、(3年ぶりに)1兆ウォン台を回復した」として、このように述べた。
政府が同日公開した統一部の2019年の予算案は1兆3188億ウォン(一般会計2184億ウォン、南北協力基金1兆1004億ウォン)だが、全体の83%が南北協力基金だ。協力基金は、今年に比べて14.3%増額された。表向きの“平凡な”増加幅より内容の変化が注目に値する。
経済協力の予算(2680億→4290億)は、無償(3093億ウォン)と融資(1197億ウォン)で構成されているが、その中のかなりの部分が板門店宣言に明記された経済協力事業の南北鉄道・道路連結・現代化初期事業に使われる。「経済協力の基盤づくりのための予算」という表現が示唆するように、本格的な事業というよりは設計や監理、資材・装備の購入など「呼び水の性格」(統一部当局者)の予算編成だ。板門店宣言の履行の意志を示しながらも、国連・米国の対北朝鮮制裁の状況も念頭に置いた「折衷的な予算編成」と言える。
「民生協力支援」予算(2310億→4513億)は、かつての「人道支援」予算に近い。肥料支援予算(20万トン、1323億ウォン)や山林協力、保健医療協力事業予算などがこれに当たる。政府は対北朝鮮の食糧支援予算規模を例年の30万トンから10万トンに大幅に減らした。食糧支援予算が長く執行されていない現実を考慮し、北朝鮮に自然災害が発生した時に備えた緊急救護用の10万トンだけを残した。
政府は北朝鮮人権財団の運営予算を今年の108億ウォンから(約10億8千万円)8億ウォン(約8千万円)に大幅に減額した。今年6月、財団事務室を閉鎖した事情を反映した調整だ。統一部当局者は「国会で理事会の構成に合意できず、財団の発足が遅れている現実を考慮した」とし、「財団発足の準備のための最小限の予算だけを反映した」と説明した。