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[ルポ]平和夢見る観光客増えたが、…JSA展示館はいまだ「冷戦中」

登録:2018-08-24 05:56 修正:2018-08-24 07:51
南北首脳会った板門店もう一度行ってみると 
 
「北傀」「敵」用語を使った展示そのまま 
反共から平和へと視覚切り替えるべき 
 
平日でも観光バスが駐車場埋め尽くし 
今年韓国・外国人約34万人が訪問
今月22日午後、観光客らが南北分断の第一線現場である板門店軍事停戦委員会会談場を訪問している=パク・ギョンマン記者//ハンギョレ新聞社

 今年4月27日、板門店(パンムンジョム)では、南北の首脳が手を取り合って散策しながら「平和」を語り合った。しかし、依然として板門店周辺では北朝鮮を「北傀」と呼んでいた。接境地域では、まだ南北は「同伴者」ではなく、「敵」だった。

 今月22日、多文化家庭15人と共に板門店の警備を担当している共同警備区域(JSA)部隊の安保見学館を訪れた。板門店から約4キロメートル離れたこの安保見学館は、板門店に行くためには必ず通らなければならないところだ。ここで安保教育を受け、専用車両に乗り換えなければ、「ノルムンリ」には足を踏み入れることはできない。

 南北首脳の4・27板門店宣言で「もう春が来たのでは」という期待を抱き、安保見学館に入ったが、そこはまだ真冬のままだった。見学館の映像のブリーフィングは、依然として北朝鮮を「北傀」と呼んでいた。北傀とは、冷戦時代に北朝鮮を見下して呼んだ言葉で、北朝鮮傀儡の略語であり、北側の操り人形、北側のカカシという意味だ。

今月22日午後、観光客らが共同警備区域(JSA)安保見学館で、ポプラ事件など板門店一帯で起きた主な事件の案内板を見ている=パク・ギョンマン記者//ハンギョレ新聞社

 映像物は、板門店一帯で起きた1968年のトラック襲撃や1976年のポプラ事件などを例に挙げ、「分断後、北朝鮮の武力挑発が3千回以上発生した」と説明した。また、共同警備区域部隊は「世界唯一の韓米連合戦闘部隊」だとし、「敵との距離が1メートルに過ぎない」と強調した。「今日も敵と対峙する」という内容は、遠回しながら北朝鮮軍が「敵軍」であることを示していた。政府が今年末に発刊する「国防白書」で、「北朝鮮政権と北朝鮮軍は私たちの敵」という文言を削除方針を明らかにしたにもかかわらず、ここはまだ冷戦のままだった。

 このような雰囲気の中でも、観光客たちは淡々と南北平和を祈願した。小学生の息子と共にこの見学に参加したフィリピン出身のパク・ソンヒさん(36)は「戦争によって分断されたと聞いた。南北が互いを尊重し、必ず統一を成し遂げることを願っている」と話した。また、ホ・ホジョン君(14・抱川市ヨンブク中学校2年生)は「分断を実感する。南北が喧嘩せずに協力して共に発展してほしい」と話した。

 第3トンネルで会った中国系米国人の王さん(50)は「最近朝鮮半島で作られた平和ムードを希望を持って見守っている。北朝鮮の困難な状況を国際社会が積極的に助けるべきであり、北朝鮮も自ら努力しなければならない」と話した。

 これまで8年間にわたり非武装地帯付近で平和・生態教育を行ってきたノ・ヒョンギ坡州(パジュ)環境運動連合共同議長は「DMZ一帯では、まだ北朝鮮に対する敵愾心を煽る反共・安保教育に焦点が当てられている。平和の視点に基づき、教育プログラムを見直さなければならない」と指摘した。

京畿道北部地方警察庁は今月22日、京畿北部地域に居住する多文化家庭の構成員15人を招待し、板門店などを見学する「現場安保教育」を実施した=パク・ギョンマン記者//ハンギョレ新聞社

 同日、板門店と第3トンネルなど坡州DMZ一帯には平日にもかかわらず、行く先々で観光バスが駐車場を埋め尽くし、最近吹いている「平和の風」を実感させた。昨年48万人が訪れたDMZの観光客数は外国人12万5千人を含め、現在まで34万人に達するという。

パク・ギョンマン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/858924.html?_fr=mt3韓国語原文入力:2018-08-23 21:57
訳H.J

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