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[ニュース分析]「朴槿恵、継承作業認識しサムスン合併への賛成を指示」と判断

登録:2018-08-25 06:59 修正:2018-08-26 22:24
「不正な請託」認めた根拠は

「イ副会長の経営権承継作業あった」 
1審は継承作業・不正請託を認めず 
2審は「イ副会長の経営権継承は包括的懸案」 
 
「朴槿恵も継承作業認識していた」 
単独面会で継承作業について話し合ったと判断 
面会前後でサムスンに相次ぐ友好処置 
 
「チョン・ユラ氏への馬3頭も賄賂」 
「サムスンの継承作業めぐる黙示的な請託と 
英才センターへの支援の見返り関係十分に認められる」 
ミル・K財団への支援金は賄賂と認めず

朴槿恵大統領が2015年5月7日午前、京畿道平沢市高徳面高徳国際化計画地区内のサムスン電子半導体平沢団地の起工式に出席した。朴大統領がイ・ジェヨン・サムスン電子副会長と話を交わしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領の控訴審の裁判の争点は、収賄容疑と関連してサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の経営権継承作業などをめぐる「不正な請託」があったかどうかだった。イ副会長の1審は「不正な請託」の存在を認めたが、イ副会長の2審と朴槿恵前大統領の1審はこれを認めなかった。

 ソウル高裁刑事4部(裁判長キム・ムンソク)は24日、朴前大統領が、国民年金公団にサムスンの合併に対する賛成まで指示した点などを根拠に、「継承作業と関連した黙示的な請託と韓国冬季スポーツの英才センターに支援した後援金(16億ウォン)の間に、賄賂性が十分に認められる」と判断した。合併賛成の指示に加え、個別の懸案に対する請託まで認め、イ副会長の1審より「不正な請託」についてより明確で確実な判断を下したのだ。

■「イ・ジェヨンの『経営権承継作業』は存在した」

 朴前大統領の1審とイ副会長の2審は「サムスンの経営権継承作業が存在しなかったため、不正な請託はなかった」という判断を示した。しかし、朴前大統領の2審は「包括的懸案としての継承作業」の存在を認めた。裁判所はまず「継承作業は、イ副会長が最小限の個人資金を使用し、核心系列会社のサムスン電子やサムスン生命に行使できる議決権を最大限確保することを目標にしているサムスングループの支配構造の再編」だと定義した。さらに、「サムスン・エバーランドの転換社債発行事件などでも見られるように、経営権継承作業は以前から存在しており、サムスン電子のイ・ゴンヒ会長の健康悪化により、イ副会長がサムスンの支配権を承継するということはサムスンの内・外部で当たり前のように受け止められていた」と裁判部は指摘した。このような状況などを根拠に「経済的・社会的・制度的・政治的環境が非友好的に変化したことで、イ副会長の支配権に深刻な脅威が浮上する可能性もあった」とし、今後発生する可能性に備え、イ副会長の持分をはじめとする大株主一家の支配権を最大限強化する継承作業が必要だった」と裁判部は判断した。

 存在する継承作業が不正な請託として認められるためには、朴前大統領もサムスンの経営権継承作業という懸案を認識していなければならない。朴前大統領の1審は「継承作業が存在すると見ることはできないため、これを認識していたとか、継承作業を媒介で支援する(朴前大統領とイ副会長)共通の認識があったとは断定できない」と判断した。「存在しない」と判断したため、「朴前大統領とイ副会長が認識できなかった」という結論に至ったのだ。

 しかし、今回の2審はサムスンの「経営権継承作業」という懸案を朴前大統領が知っており、これによってその継承作業の核心である国民年金公団のサムスン物産・第一毛織の合併への賛成を指示したり承認したと、1審とは異なる判断を示した。2審は2015年7月25日に単独面会のために作成されたお言葉資料や民政首席室のサムスン関連報告書、政府の金融・市場監督機関報告書、マスコミの報道などを根拠に、「(イ副会長と)面会した当時、被告人(朴前大統領)は継承作業という懸案に対して認識していた」と判断した。

■朴槿恵・イ・ジェヨンの単独面会で継承作業について「話し合った」

 このような状況で、朴前大統領とイ副会長は2015年7月25日の単独面会で、「経営権継承作業について話し合ったと見るのが自然だ」と、2審は判断した。裁判所はまず、単独面会が「最も核心的な継承作業と評価されるサムスン物産と第一毛織の合併に対する朴槿恵政権の友好措置の直後に実施された」点に注目した。さらに裁判所は、朴前大統領が2015年6月「合併案件についての国民年金公団の議決権行使問題について気を配るよう」当時の雇用福祉首席秘書官に指示した点▽「合併当時、サムスンを心配した」という検察で述べた供述▽大統領秘書室とアン・ジョンボム元大統領府政策調整秘書官が国民年金公団の議決権行使の過程に関与した点などがあったと指摘した。これらを総合すれば、「国民年金公団が合併に賛成の立場を決定する過程で、被告人の指示や承認があったと見るしかない」というのが裁判部の判断だ。これはムン・ヒョンピョ元保健福祉部長官の控訴審裁判所が「国民年金公団の合併賛成の背景に、朴前大統領の指示があった」という趣旨で判断したものと一致する。

 このような流れの中で「合併に決定的に支援し、継承作業を手伝うべき」と思っていた朴前大統領と「合併の決定的な支援を受けて大統領の助けがこれからも必要な」イ副会長が、単独面会で会った。裁判所は「被告人に苦情や提案事項を伝える機会を提供されたイ副会長が、国民年金公団の賛成で直前に実現された合併などを含め、最大懸案である経営権承継作業について話を交わしたと見るのが自然だ」とし、「被告も文化隆盛とスポーツの発展に向けた支援と冬季スポーツのメダリストたちが設立した団体(英才センター)への支援を要請した」と判断した。単独面会後も、エリオットなどに対する経営権防御の強化や合併によるサムスン物産株式の処分などがサムスンに有利に決定された情況も強調された。

■財団を除き、英才センターへの支援だけを第3者供賄と認める

 ただし、2審も英才センター支援金と異なり、ミル・Kスポーツ財団にサムスンが支援した204億ウォンの出資金は第3者供賄と認めなかった。裁判所は「被告人の英才センター支援要求は支援対象や規模、方式が非常に具体的に特定された。サムスン側は英才センターが正常な公益団体ではないという事実を認識し、後援金の算出根拠についての十分な検討もなく、支援を決定した」と判断した。しかし、裁判所は財団への支援と関連しては、「被告人が単独面会で具体的に要求しなかった」とし、「サムスンは全経連のガイドラインに沿って拠出金の分担要求に受動的に応じており、他の企業同様に不利益を被るかもしれないという懸念などから支援を決定したものと見られる」とし、賄賂性を認めなかった。

 一方、朴前大統領の2審はイ副会長2審と異なり、チェ・スンシル氏の娘チョン・ユラ氏の馬3頭(37億ウォン)も賄賂と見た。朴前大統領の1審同様、「チェ氏とサムスン電子のパク・サンジン元社長の間で、馬について実質的な使用や処分権限がチェ氏にあるという意思の合致があった」と判断したためだ。直接賄賂の疑いが適用されたサムスンの乗馬支援は、第3者賄賂とは異なり不正な請託が必要ない。

キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/859159.html韓国語原文入力:2018-08-24 23:00
訳H.J

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