6・12シンガポール朝米首脳会談の共同声明を履行する初期段階で、南北米が非核化と終戦宣言の関係をめぐり、3人3色の“3角ゲーム”を行っている。特に朝米双方とも交渉継続への意志は持っているものの、状況を自分に有利に進めるため、公開・非公開に韓国の“役割”を求めているという。朝米関係の改善と非核化の過程の促進剤として、「終戦宣言」を進めてきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領の状況の打開に向けた悩みが深まっている。
23日、北側は対外メディアを通じて、文在寅政権が終戦宣言に否定的な米国側の態度を変えるのに力を貸してほしいと、事実上要請した。北朝鮮の祖国平和統一委員会(祖平統)が運営する対外メディア「わが民族同士」は同日、「朝鮮半島における現在の異常な停戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立するのは、これ以上先送りできない歴史的課題」だとしたうえで、「終戦宣言問題は歴史的な板門店(パンムンジョム)宣言に明記された重要な合意事項の一つ」であることを想起させた。さらに「残念なのは、最近、米国が態度を急変させ、終戦宣言を拒否している」ことだとして、「板門店宣言の条項を履行しなければならない義務を持っている南朝鮮当局も、終戦宣言問題に対して決して手をこまねいていてはならない」と主張した。「終戦宣言の問題解決に韓国が積極的に乗り出してほしい」というメッセージと言える。
北側は終戦宣言を非核化措置と共に進めるべき「平和保証の初工程」として提示している一方、米国は終戦宣言は少なくとも「意味のある非核化措置以降」に可能だというという雰囲気だ。文在寅政権が、終戦宣言は朝鮮半島の恒久的平和体制構築に向けた平和協定の前段階として、法・制度的効力を持たない“政治宣言”という点を強調し、米国側を説得しているが、ドナルド・トランプ米大統領を除いたホワイトハウス高官や実務陣、議会側は否定的な雰囲気だと言う。特に、彼らは終戦宣言が「朝鮮戦争の終息」という政治的宣言を越えて「不戦宣言」に受け止められることを憂慮しているとされる。また、朝米首脳会談以降、「非核化交渉に具体的な進展がない」という米国内の世論を意識し、北朝鮮に譲歩することになりかねないという政治的判断も作用する雰囲気だ。その代わりに米国側は「北側が非核化に積極的に乗り出すよう、韓国側が役割を果たしてほしい」として、様々なチャンネルを通じて要請しているという。米国の消極的態度と関連し、ク・ガブ北韓大学院大学教授は「米国としては終戦宣言をすることになれば、(北朝鮮に対し)軍事的オプションが完全に消えるため、悩んでいるようだ」とし、「米国は終戦宣言の波及効果が思ったより大きい可能性があると判断しているようだ」と指摘した。
このような状況下で、文大統領は終戦宣言を非核化を牽引する促進剤であり、停滞状態にある朝米対話の新しい動力源であると考え、休戦協定65周年の今年中に南北米終戦宣言を実現させる意志を重ねて強調している。20日、チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長の訪米も、この一環として朝米の隔たりを埋める目的で行われたものとみられる。政府は、米国を相手に終戦宣言の“順機能”を説得する一方、北側には具体的な非核化措置の必要性を強調しているという。