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機務司令部戒厳文書、マニュアルの「戒厳実務便覧」指針にも反していた

登録:2018-07-23 22:23 修正:2018-07-24 07:31
合同参謀本部、23日「2016戒厳実務便覧」公開 
「国会統制」という内容は戒厳便覧に存在しない 
「マスコミなど検閲」部分は便覧にも含まれる
2016戒厳実務便覧=ノ・ジウォン記者//ハンギョレ新聞社

 国軍機務司令部が作成した「戒厳検討文書」が、軍の指針に反して作成された事実が確認された。

 合同参謀本部は23日午前、ソウル市龍山区(ヨンサング)の国防部記者室で「2016戒厳実務便覧」(以下、戒厳便覧)を公開し、取材陣が閲覧できるようにした。今月20日、キム・ウィギョム大統領府報道官は、国軍機務司令部が作成した67ページからなる「戒厳令検討文書」の内容の一部を公開した。それと共に、文書の詳しい内容に対して「2年ごとに樹立される戒厳実務便覧と全く異なるものであることを確認した」と明らかにした。機務司令部が作った戒厳対備計画を指して、“マニュアル”として使われる戒厳便覧に従わなかったと指摘したのだ。実際、こうした指摘は、合同参謀の戒厳実務便覧の閲覧を通じて確認された。戒厳便覧を見れば、大統領府が公開した「機務司令部戒厳文書」と戒厳便覧の間には差異があった。戒厳便覧に従ったと見られる内容もあったが、そうでない部分も少なくなかった。

 キム報道官が公開した機務司令部文書の内容には、「国会の戒厳解除表決を防ぐための方法」▽「党政協議を通じて与党(自由韓国党)議員が戒厳解除国会議決に参加しないようにする方案」▽「戒厳司令部が(国会議員の)デモ・集会禁止、反政府活動の禁止を布告し、違反すれば拘束捜査など厳正処理発表後に反政府活動議員を集中検挙し、司法処理して議決定足数に達しないようにする内容」があると知らされたが、戒厳便覧には戒厳状況で国会を統制するこのような内容は見られなかった。戒厳令発動時、国会が過半数の賛成で戒厳令を解除できるという憲法77条の内容に逆らう「(戒厳を)解除できないようにするための措置」(機務司令部文書には含む)についても戒厳便覧にはなかった。

 機務司令部の文書には、「重要施設494カ所、集会施設2カ所、光化門(クァンファムン)、汝矣島(ヨイド)に機械化師団、機工旅団、特戦司令部から編成された戒厳任務遂行軍を夜間に戦車と装甲車を利用して速かに投じる方案」があると伝えられた。だが、戒厳便覧には兵力運用に対する部分が当初から含まれていなかった。それのみならず「我が国の大使館、各国大使館、派遣外信記者を相手に、どのように戒厳令を説得するかの方案」も、機務司令部の文書にのみあり、戒厳便覧にはなかった。

 キム報道官は、機務司令部文書に「通常の戒厳マニュアルと異なり、合同参謀議長を排除して陸軍参謀総長を戒厳司令官に推薦する判断要素と検討結果が含まれている」と述べた。戒厳便覧は「戒厳法」5条(戒厳司令官は国防部長官が推薦した人を閣僚会議の審議を経て大統領が任命)により、司令官を定めなければならないと規定している。原則的には、国防部長官が推薦し大統領が任命した者は戒厳司令官になることができる。だが、戒厳司令官は軍内の最高軍令権者である合同参謀議長が任命されるのが通常だ。平常時の戒厳業務も、合同参謀議長の指揮を受けて合同参謀本部戒厳課が担当し、陸軍参謀総長は合同参謀議長とは違い軍に命令を下す軍令権さえない。戒厳司令官を陸軍参謀総長と定めた機務司令部文書が法に反するものではないが、通常的でないと指摘できる理由だ。

 もちろん、機務司令部文書と戒厳便覧が一致する部分もあった。例えば「大統領が国家情報院長に対して、戒厳司令官の指示、統制に従わせる内容」は、戒厳便覧にも出ていた。便覧の内容を見れば「戒厳法7条1項は、戒厳地域内の行政機関(情報および保安業務を掌握する機関を含む)および司法機関は、遅滞なく戒厳司令官の指揮、監督を受けなければならない。全国非常戒厳の場合、情報および保安業務を担当する国家情報院も戒厳地域内の行政機関として戒厳司令官の指揮・監督を受けなければならない」と出ている。ただし「国家情報院2次長が、戒厳司令官を補佐する」という内容は便覧には出ていなかった。

 「言論、出版、公演などを事前検閲することができる」という内容は、戒厳便覧にも出ていた。例えば「検閲は、事前検閲を原則とし、報道指針に符合しない内容の一部または全部を削除または内容修正を指示する」、「報道検閲違反媒体は取材制限、持続的違反媒体は戒厳布告違反者として措置する」、「インターネット、SNSなど事前検閲が不可能な媒体に対する監視は、戒厳司令部報道検閲団が放送通信委員会“インターネット デマ対応本部”と協力して実施することを原則とし、該当地域を対象にする言論関連インターネットサイトがある場合は該当地区、地域の戒厳司令部にインターネット監視班を編成する」という内容が代表的だ。ただし、大統領府が67ページ分量の機務司令部作成の戒厳文書内容を具体的に公開しておらず、一部だけを公開したので文書が戒厳便覧の指針に忠実に従ったかは確認できない。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/854537.html韓国語原文入力:2018-07-23 21:04
訳J.S

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