昨年3月、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾棄却を前提に、具体的な戒厳令実行方案が記された国軍機務司令部の追加文書が公開された。騒乱に備えて単に“検討”しただけというハン・ミング前国防部長官らの釈明とは異なり、ソウルの光化門(クァンファムン)、汝矣島(ヨイド)に装甲車(タンク)を配置するのをはじめ、国会・マスコミ統制案などきわめて具体的な実行案が含まれていて波紋が予想される。
キム・ウィギョム大統領府報道官は20日、ブリーフィングを開き、機務司令部が作成した「戦時戒厳および合同捜査業務遂行案」の「対備計画細部資料」の主な内容を公開した。「細部資料」は67ページの文書で、段階別対応計画▽衛戍令▽戒厳宣布▽戒厳施行の4つのタイトルの下に21の細部項目で構成されている。5日、イ・チョルヒ共に民主党議員が公開した戒厳令検討文書の実行計画に当たる文書だ。
キム報道官は、具体的な内容と関連して「戒厳を成功させるためには、保安維持下で迅速な戒厳宣布と戒厳軍の主要地点掌握など、先制的措置の有無が戒厳成功のカギだと指摘している」と明らかにした。
キム報道官は「(この文書には)非常戒厳宣布文と戒厳布告文がすでに作成されており、通常の戒厳マニュアルとは違い、合同参謀議長を排除し陸軍参謀総長を戒厳司令官に推薦する判断要素と検討結果が含まれている」と明らかにした。「通常の戒厳令がどんな手順を踏んで発動されるのかをマニュアル化した合同参謀本部の戒厳実務便覧とは内容がはっきり違う」とも述べた。もしもの事態に備えた軍の“通常的”マニュアルではなく、実行を前提とした計画案だという疑惑が濃厚だという話だ。
「細部計画」には、国家情報院統制計画と、言論・出版・公演に対する事前検閲計画も共に明示されているとキム報道官は明らかにした。大統領が国家情報院長に対して戒厳司令官の指揮・統制に従わせ、国内情報を担当する国家情報院2次長に戒厳司令官を補佐させる内容が含まれていたのだ。キム報道官は「各報道機関別の戒厳司令部要員派遣計画も作成されていた」として「新聞架版、放送・通信原稿、刊行物見本、映像制作物原本を提出させ検閲する計画だった」と伝えた。
また、戒厳令が国会表決で解除されないよう、国会を「無力化」する方案も指摘されていた。当時の野党(共に民主党)国会議員を司法処理し、国会議決定足数を満たせないようにし、与党(当時自由韓国党)議員の表決参加を阻むなどの内容だ。
ろうそく集会が集中していたソウルの光化門と汝矣島には「戒厳任務遂行軍」と共に、装甲車・戦車などを迅速に投じるようにしていた。キム報道官は「この文書を公開した理由は、その重大さと国民的関心が高いだけに、速やかに公開するのが道理だと考えた」として「この文書の違法性と施行計画の有無、配布単位などについて国防部特別捜査団が法と原則に則り捜査することを期待している」と明らかにした。