本文に移動

3回も「免罪符」与えた末、遅まきながら「李元大統領の指示」明らかにした監査院

登録:2018-07-05 06:07 修正:2018-07-05 09:46
4大河川4次監査の進行過程と限界 
指示が違法かどうか最後まで明らかにできず  
関係者たちの責任を問うのは困難に  
「大統領は監察の対象ではないため除外  
時効ほとんど過ぎて懲戒も難しい」
今月4日午前、ソウル鍾路区の監査院記者室でパク・チャンソク監査院報道官が「4大河川再生事業の推進実態の点検および成果の分析」結果を発表している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 監査院が李明博(イ・ミョンバク)元大統領の直接的な指示で4大河川事業が進められたという事実を明らかにしたが、李元大統領をはじめ、事業推進関係者らに責任を問うことは難しくなった。監査院が李元大統領の指示の違法性について判断を下さなかったからだ。

 今回の監査は、昨年5月に大統領府が4大河川事業に対する監査の必要性を提起したのに加え、環境団体の公益監査請求、監査が必要だという世論などによって行われた。監査院は昨年7月3日から10月25日までの50日間、監査人員71人を投入し、国土交通部、環境部など4機関を対象に監査を行った。4大河川事業がなぜ始まったのかをはじめ、事業計画決定過程や手続きの正当性などを指摘した。従来の4大河川事業監査および裁判証拠書類を再検討し、李明博政権時代の長・次官と大統領室職員90人を問答調査した。

 監査院が4日発表した「4大河川再生事業の推進実態の点検および成果分析」結果によると、李元大統領は事業を推進する際、国土部と環境部など関係省庁の指摘を反映せず指示を下しており、省庁もその後問題提起をしなかった。しかし、監査院はこの日「(李元大統領の)指示そのものが違法性を判断できるものとは確認できなかった」と明らかにした。

 過去にも、監査院は3回にわたり4大河川事業を監査した。4大河川事業の細部計画樹立および履行の実態(2010年)、主要施設物の品質や水質管理の実態(2012年)、設計・施工一括入札など主な契約執行の実態(2013年)などだ。最初の監査の際は問題点を発見できないという結論を下し、“免罪符”を与えたという批判を受けた。朴槿恵(パク・クネ)前大統領就任後に発表された第2次監査では、事業の根本的な問題点を一部明らかにし、事業が李元大統領が掲げた朝鮮半島大運河と関連がある可能性を示唆した。第3次監査は4大河川事業が「運河推進を念頭に置いて」行われた事業という結論を下したが、李元大統領の指示があったことを具体的に明らかにしない線でとどまった。今回の監査結果が“遅きに失した”真相究明と批判されるのも、このためだ。

 ナムグン・ギジョン監査院国土海洋監査局長は4日午前、ソウル鍾路区監査院で開かれた記者会見で、李元大統領が職権を乱用したかについて「法律的に具体的に検討しなかった」とし、「憲法と政府組織法上、大統領には各長官と省庁の行為について、指揮・調整できる権限がある。(大統領の)指示そのものが違法なのか判断ができない状態で、職権乱用を判断するには困難があった」と述べた。李元大統領を直接調査しなかった理由については「監査院法上、大統領の職務行為は職務監察の対象ではない」とし、「そのため、李元大統領に協力を要請したが、(李元大統領が)協力を拒否した」と説明した。監査院法上、大統領の職務行為は職務監察対象ではないため、李元大統領には監査に応じる義務がなく、監査院が違法事項を発見していない状況では、李元大統領が協力を拒否しても告発処置をするのは難しいというのが監査院の説明だ。

 事業推進に関与した担当者に対する今後の懲戒や捜査要求が難しくなった点も、(今回の監査の)限界に挙げられる。ナムグン局長は「この事業が決定されて推進されてから事実上10年あまりが過ぎた」とし、「懲戒時効が過ぎており、公訴時効もほとんど終わった。事実上、当時の事業を決定した幹部らはすでに退職しており、その指示によって(業務を)処理した職員らに人事上の不利益を与えるのも、公平ではないと判断した」と説明した。

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/administration/851939.html韓国語原文入力:2018-07-04 22:47
訳H.J

関連記事