4大河川事業の奥深い部分ながらも公然の秘密が暴かれた。洛東江(ナクトンガン)が最低水深6メートルに浚渫(川底をさらって土砂を除去)されたが、活用する計画もなく4大河川に8億トンもの水をせき止める大型堰16個が建設されたのは、結局、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の直接指示であったことが監査院の監査で明らかにされた。
4大河川事業が、運河に対する未練を振り払えなかった李元大統領によって行われたことは公然たる事実だが、監査院が李大統領を直接名指ししたのは今回が初めてだ。監査院は2013年7月「4大河川興し事業の設計・施工一括入札など主要契約執行実態」監査結果発表の時、4大河川事業は「今後の運河推進を念頭に置き」、「大統領室の要請などにより」決定されたとだけ明らかにし、李元大統領の名前に直接言及することはなかった。
監査院が4日に公開した「4大河川興し事業推進実態点検および成果分析」監査結果によれば、4大河川事業は世論に押されて2008年6月に大運河事業中断を宣言した李明博大統領が、二カ月後にチョン・ジョンファン当時国土海洋部長官に河川整備事業を推進してみろと指示して始まった。監査院は、これにより国土部から堤防の補強と浚渫で洪水を防止する事業計画の報告を受けた李元大統領が、堰の設置と業務引継ぎ委員会当時に朝鮮半島大運河タスクフォースから出た資料を計画に反映するよう指示したと明らかにした。
李元大統領は、国土部が2009年2月中旬に最低水深2.5~3メートルにすれば洪水予防や水不足対処に充分だと報告すると、水深を4~5メートルにしろと直接指示し、4月中旬頃には洛東江の最低水深を6メートルにしろという「大統領指示」があったと明らかにした。こうした指示により、国土部の技術的分析も経ず、6月に4大河川事業計画が最終発表されたということだ。
国土部が、当初は2010年1月に着工し2012年に完工しようとしていた計画を変更し、完工を1年操り上げたことと、環境部が通常5~10カ月かかる事前環境性検討と環境影響評価期間を2~3カ月に短縮したことも「大統領の指示」に従った結果というのが監査院の結論だ。
監査院は「今回の監査で、当時大統領がなぜそうした指示をしたのかを直接聞こうとしたが、訪問や質問書受領などの協力は得られず、理由や根拠を確認することはできなかった」と明らかにした。
監査院は、こうした李大統領の指示を違法と判断する根拠はなく、法的責任の追及までは難しいという立場だ。ナムグン・ギジョン国土海洋監査局長はこの日、結果ブリーフィングで「大統領の職務行為は職務監察の対象ではなく、大統領の違法事項は発見されなかったが、(監査に)協力しなかったという理由で告発措置をとることは難しい」と話した。だが、法的責任の追及とは別に、李元大統領の政治的、道徳的責任を問う声は一層高まることになった。
4大河川再自然化市民委員会はこの日、論評で「4大河川事業は大統領、大統領府、国土部、環境部、韓国水資源公社、企画財政部など国家が総動員で国土を蹂躪した事変」だとし、「4大河川事業の究極的責任者である李明博元大統領を直ちに調査し、法により処罰し、当時職務を遺棄したり誤りをほう助した公務員に対しても責任を問わなければならない」と主張した。