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韓国水資源公社、「京仁運河1千億円の損失」知っていながら推進した

登録:2018-02-13 22:39 修正:2018-02-14 20:24
廃棄業者に渡した書類から407件取り戻す 
2010年6月作成「アラベッキル」文書に 
「事業費4301億ウォン増加・収入4兆ウォン減少 
国庫支援しても1兆ウォン以上の損失」記載 
“VIP指示事項”との記載も 
国家記録院長「文書廃棄に厳重処罰」
韓国水資源公社(水公)が廃棄しようとした書類の山から出てきた4大河川関連文書。水公は「ほとんどが保存年限が経過して破棄される文書か、便宜上保管していた資料」として重要性を極力否定した=国家記録院提供//ハンギョレ新聞社

 韓国水資源公社(水公)が廃棄しようとした文書から京仁(キョンイン)アラベッキル(京仁運河)事業に1兆ウォンの損失が予想されるという報告書が発見された。水公は事業初期から莫大な損失を生むという事実を知りながらも、同事業を推進したのだ。

 12日、国家記録院が出した資料によれば、2010年6月頃に作成したと見られる「京仁アラベッキル事業国庫支援」文書で、「事業費が4301億ウォン(約430億円)増加し、収入は4兆759億ウォン(約4千億円)減少する。国庫支援を当初の3289億ウォン(約330億円)から5247億ウォン(約520億円)に増やさなければならない。国庫支援があっても1兆ウォン(約1千億円)以上の損失が予想される」と書かれている。

 当初2009年に国土交通部は、京仁運河事業で645億ウォン(約65億円)の損失を予想したが、実際に事業を引き受けた水公が再計算したところ、費用は増え収入は減り、1兆1055億ウォンの損失が予想された。例えば、港湾収益減少3兆18億ウォン(約3千億円)、南側堤防道路の収益減少7345億ウォン(約730億円)、物流団地収益減少3396億ウォン(約340億円)だった。

 京仁運河事業は当初から利益を出せず公共性もないという評価を受けた。しかし、この事業を4大河川事業のテスト事業と見た李明博(イ・ミョンバク)政府は、費用対効果(B/C)を操作して、水公の自主事業として押し付け、この事業を強行させた。この事業には総額2兆7千億ウォンが投入された。特にこの文書には「南側堤防道路を往復4車線から2車線に減らし、通行料金を受け取ってはならない」という“VIP(李明博大統領)指示事項”も記されているが、この指示により7345億ウォンの追加損失が発生した。

1月18日、水公記録物無断廃棄の情報を提供した写真。しかし、記録院の職員が行った時は写真の中の「4大河川2」ファイルはすでに無くなっていた=国家記録院提供//ハンギョレ新聞社

 1月9日、国家記録院は閣僚会議で「記録物管理実態を調査した結果、2016年12月に水公が4大河川事業関連記録物を無断搬出し、廃棄したとみられる」と報告した。ところが水公は閣僚会議が開かれたことから、その日にまた下請け業者を呼び、大田(テジョン)庁舎にあった16トンの記録物を搬出し廃棄し始めた。先月19日に情報提供を受け、記録院職員が行った時にはすでに4回にわたる搬出・廃棄で多くの文書が無くなった後だった。

 国家記録院は廃棄業者から文書12箱、記録物407件を持ってきて、そのうちの302件が原本記録物である事実を確認した。302件の中には「京仁アラベッキル事業性変動現況」の他にも「漢江(ハンガン)3・4工区小水力施工実態点検措置結果報告」(2011年4月4日)、「4大河川生態河川造成事業優先施行方案検討要請」(2010年5月17日)など4大河川事業関連文書40件が含まれていた。

 国家記録院のイ・ガンス学芸研究官は「情報提供者の写真には『4大河川2』という文書ファイルがあったが、私たちが行った時にはすでに無くなっていて『4大河川4』ファイルのみが残っていた。今まで水資源公社に対し無くなった4大河川事業の3個のファイルを要請したが、答を聞けていない」と話した。国家記録院のイ・ソヨン院長は「ミスなのか、故意なのかは分からないが、水資源公社の文書廃棄が相次いだだけに、今回は必ず厳重な処罰をしなければならないだろう」と話した。

ナム・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/831937.html韓国語原文入力:2018-02-12 21:09
訳J.S

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