監査院監査では、4大河川事業の経済性もまたきわめて低調で、深刻に国庫が浪費されたことが確認された。
ソウル大学産学協力団が、監査院の依頼を受けて2013~2016年の4年分の資料に基づき、2013年から今後50年間の便益と費用を分析したところ、総費用は31兆ウォン(約3兆円)、総便益は6兆6千億ウォン(約6500億円)で、費用に対する便益比率(B/C)は0.21と現れた。漢江(ハンガン)がそれでも0.69で最も高く、錦江(クムガン)0.17、洛東江(ナクトンガン)0.08、栄山江(ヨンサンガン)0.01の順と集計された。便益比率が1以上の場合に事業性があるとして評価される点から見て、4大河川事業の経済性はすべて落第点だといえる。
4大河川事業に投入された費用は、事業費24兆6966億ウォン、維持管理費4兆286億ウォン、再投資額2兆3274億ウォンで合計31兆526億ウォンと把握された。これに対し、便益は水質改善効果が2363億ウォン、利水効果1兆486億ウォン、親水効果3兆5247億ウォン、水力発電・骨材販売効果1兆8155億ウォンの合計6兆6千億ウォンに終わると分析された。特に、李明博政府が4大河川事業を強行する名分として前面に掲げた洪水被害予防効果は0ウォンと集計された。ただし、産学協力団は、4大河川事業以後に洪水を引き起こすほどの豪雨が降ったことがなく、便益が多少過小推定された可能性はあるとの但し書きを付けた。
4大河川事業の経済性がこのように低いのに、国策事業として推進することができたのは、予備妥当性調査を免除されたためだ。企画財政部は2009年に国家財政法施行令の改定を通じて、4大河川事業などの災害予防事業を予備妥当性調査免除対象に含めた経緯がある。予備妥当性調査を経れば、経済性がなく議論になりかねないことを事前に封じ込めた措置であり、当時も論議が起きた。それでも今回の監査で監査院は、施行令の改定を経て災害予防事業が予備妥当性調査対象から一括免除されたことに対しては違法性がないとみなした。代わりに、企画財政部長官などに、今後関連規定に違反して事前妥当性に対する検証を疎かにすることがないよう注意を要求したと監査院は説明した。しかし、4大河川事業を災害予防事業と見なした根拠であった洪水被害予防効果が、現時点ではゼロであることが明らかになったという点で、当時の政府の予備妥当性調査免除措置は責任論を避けられないと見られる。
一方、監査院は4大河川マスタープラン上の事業費22兆2千億ウォン(約2兆2千億円)は、4大河川本事業と直接連係事業の国費を基準としたもので、国家・地方自治体・公共機関が追加で投じた事業費が5兆1千億ウォン(約5000億円)に達するという事実も明らかにした。環境部の水質改善事業に対する地方自治体の負担額(2009~2016年)が2兆6千億ウォン、水資源公社の投資額調達(債券発行)のための金融費用国費支援額1兆8千億ウォン、国家と地方自治体の4大河川施設維持管理(2012~2016年)費用6400億ウォンなどが別途投入されたと監査院は指摘した。