ヤン・スンテ前最高裁長官の時代に、裁判所行政処が主要な裁判の動向を大統領府に報告し「判事ブラックリスト」を作成したという疑惑を明らかにするための司法府の第3次調査が、関連裁判官に対する告発など刑事措置を取らない線で終了となった。先の2回の「セルフ調査」の結果をめぐって批判が多かったために、3回目の内部調査の結果と後続措置に関心が集中したが、結局司法府の内部調査の限界を克服できなかったという批判が出ている。
「司法行政権乱用疑惑に関する特別調査団」(団長アン・チョルサン裁判所行政処長・最高裁判事)は25日、ソウル市瑞草区(ソチョグ)の最高裁で最終調査結果を発表する前に最終会議を開き、司法行政権乱用が明らかになった裁判官に対する処罰の可能性を検討した結果、「職権乱用罪該当の有無は論議の余地があり、その他の事項は罪が成立し難いかあるいは明白な犯罪容疑が認められないと判断される」とし、このような決定をした。この日250ページあまりに上る調査報告書において、最高裁が主要事件の判決前に朴槿恵(パク・クネ)政権の大統領府と交感したり政府の立場を考慮した判決をしてきたなど、司法府の独立と裁判の公正性を深刻に害する内容を確認しながらも下した決定だ。
2月にキム・ミョンス最高裁長官の指示で構成された特別調査団は、1・2次調査では開いていないイム・ジョンホン前裁判所行政処次長のコンピューターなどから司法行政権乱用と関連した406件のファイルを発見した後、関連者の調査を進めてきた。 それまでパスワードがかかっていて開けなかった数百件のファイルを、当事者の同意を得て開けてみたところ、その過程でウォン・セフン元国情院長関連文書よりも深刻な内容が大量に確認されたのだ。
これと関連して裁判所内部では、疑惑に関連のある前・現職裁判官に対する検察捜査は避けられないという意見が多い。 刑事事件に明るい裁判官の間では、職権乱用権利行使妨害、公務上秘密漏洩、証拠隠滅の容疑の適用が十分に可能だという意見が出ている。今回の疑惑は昨年市民団体から告発がなされ、ソウル中央地検公共刑事部に配当された状態だ。
しかし、特別調査団は調査報告書で「今回の調査は過去の誤ちに対する清算の意味を持つ一方、治癒と統合を通じて司法府の未来を共に切り開こうという意味も持つ。そのために最高裁公職倫理委員会、全国裁判官代表会議などの多様な意見を聞いた上で、適切な措置に進むことを提案する」とした。
これに先立ちキム最高裁長官は第2次調査発表直後の1月24日、「司法府に対する国民の信頼を大きく傷つけたことに対し、最高裁長官として心から深くお詫びする。適切な後続措置を取るために調査結果を補完し、公正な観点から措置の方向を論議して提示できる機構を速やかに構成するようにする」と表明している。当時裁判所内外では外部の人員が調査に参加すべきだという意見が出たが、キム最高裁長官は判事だけで第3次特別調査団を構成した。