司法行政権乱用疑惑に関する特別調査団(団長アン・チョルサン裁判所行政処長)が25日、ヤン・スンテ最高裁長官在任時代に裁判所行政処が最高裁の念願事業である「上告裁判所」に対する朴槿恵(パク・クネ)政府の同意を得るために「全教組法外労組」執行停止事件と引き換えにしようとしたという文書を公開した。
文書によれば、上告裁判所立法を推進していた最高裁は「統合進歩党政党解散審判事件」と共に全教組法外労組事件を重要懸案に選び、大統領府と“ウィンウィン”の方向を検討して宣告時点まで緻密に考慮したことが明らかになった。
特別調査団がこの日公開した文書は、2014年12月3日、イム・ジョンホン当時裁判所行政処企調室長の指示で審議官が作成したもの。 この文書には、ソウル高裁行政7部(裁判長ミン・ジュンギ)が2014年9月に全教組の法外労組通知効力停止申請を認容すると、行政処が大統領府の立場を分析して「大いに不満を表示。非正常な形態と規定。司法関連最大懸案として扱っているものと見られる。 万一再抗告が棄却された場合、最高裁の各種重点的な推進事業に対する牽制・妨害が予想される」と記した部分が出てくる。さらに行政処は「最高裁の最大懸案は上告裁判所の立法推進→これに対するBH(大統領府)をはじめとする各界の協力・支援が切実」として「(雇用労働部の)再抗告認容決定は双方にウィンウィンの結果になるだろう」と見通した。
この文書は最後に「協力要請事項」なる項目に「BH(大統領府)が最高裁を国政運営の同伴者・パートナーと高く評価することになった場合、肯定的な反対給付として要請するに値する事案」として、上告裁判所立法推進に関する協力▽最高裁判事任命推薦に関する協力▽在外公館裁判官派遣に関する協力などを挙げている。裁判と引き換えにヤン最高裁長官の“懸案”を解決しようとしたという疑惑が提起される地点だ。
報告書にはまた、イム・ジョンホン前裁判所行政処次長が大統領府と具体的な取り引きを試みた別の情況も登場する。文書には「上告裁判所の立法推進成功のためのBHとの効果的交渉推進戦略」という題で「これまで司法府がVIP(大統領)とBH(大統領府)の円滑な国政運営を後押しするために、権限と裁量の範囲内で最大限協力してきた事例を詳細に説明」すると記している。 そして、その事例として「①合理的な範囲内での過去事の定立(国家賠償制限など)、②自由民主主義守護と社会的安定を考慮した判決(イ・ソッキ統合進歩党議員の事件、ウォン・セフン国情院長の事件、キム・ギジョン事件など)、③国家経済発展を最優先に念頭に置いた判決(通常賃金、国公立大学期成会費返還、KIKO事件など)、④労働改革に寄与できる判決(KTX乗務員、整理解雇、鉄道労組ストライキ事件など)、⑤教育改革の礎石になることのできる判決(全教組時局宣言事件など)等を通して直間接的にVIPとBHに力を添えてきた」と強調した。
裁判所行政処は特に「国家的・社会的波及力の大きな事件や敏感な政治的事件などで、BHと事前のやり取りを通して、予測不可能な突出判決が宣告されないように非公式的に水面下で調整する役割を遂行」すると書いている。 事実上、最高裁が下級審判決に関与したということだ。