キム・ミョンス最高裁長官は24日、裁判官に対する全方位査察と裁判の裏取引の跡が確認された司法府ブラックリスト追加調査委員会の調査結果に対する立場文で、「衝撃・当惑・惨たん」など強い語調で謝罪の意を表明した。一部が提起する「ブラックリストはなかった」という議論に明確に線を引いたものと解釈される。しかし、国民向け謝罪と抽象的な約束があるだけで、具体的な対策はないという批判も出ている。
キム最高裁長官はまず、外部の強制捜査ではなく司法府内部で今回の事態を処理することを明らかにした。最高裁長官が告発や捜査協力、捜査依頼など内部構成員に対する検察捜査を言及することは想定することも難しく、ややもすればもっと大きな“逆風”を招きかねないためとみられる。一部では、検察の裁判官捜査に触発された1971年の1次司法波動のように、裁判所内部でまた別の司法波動が浮上する可能性が言われたりもする。実際に裁判官に対する裏調査が行われ、最高裁判所全員合議体事件を巡り政権との裏取引があったという疑惑が持たれる2015年から2016年の間、裁判所行政処の幹部だったり最高裁判事だった人は、まだ裁判所に多く残っている。「政権との裁判裏取引き疑惑」報道に反発した23日の最高裁判事らの立場文も、彼らの声が反映されたものと見られる。
そのような点で、キム最高裁長官の立場文にはそれなりに強力なメッセージが込められているという分析も可能だ。彼は裁判所内部に送った立場文では「恐怖のためいったん目をつぶろうという声もある。しかし、私たちは選択しなければならない。状況を直視し、果敢に行動しなければならない」と強調した。調査結果をこのまま覆いはしないという明確な宣言だ。「人的刷新」も約束した。状況によっては「補完措置」を通じて、さらに強力な捜査につながる可能性もある。
キム最高裁長官がこの日、立場文で明らかにした行政処刷新などの制度改善案は、これまで司法行政制度改革と関連して何度も言及されたものだ。裁判所内で改革を助け推進する人々がただでさえ足りないという評価を受けてきたキム最高裁長官としては、今回を機会にこれらの制度改革案を再び確認し、推進動力を確保しようとしたものとみられる。
しかし、今回の発表内容だけでは国民の衝撃をなだめるには力不足だという指摘も出ている。ある現職判事は「裁判官が犯罪行為を犯したが、裁判所内で自分で解決するというのは、他の機関なら想像もできないこと」だとし、「依然として裁判所に特権をくれという話に過ぎない」と話した。1年間で2回にわたる独自の調査でも疑惑を究明できなかった裁判所の自浄能力を疑う声がいっそう激しくなったのも事実だ。キム長官が今後「調査の結果、補完などを議論する機関」の構成過程などで明確な革新案を出さなければならないという要求も強い。
これからの障害もあなどれないと見られる。「後続機関」の性格と方向を巡り、内部分裂が強まる可能性もある。ややもすれば、キム長官の意思とは違って今回の事態がうやむやにされ静かに終了する手順を踏むようになるという懸念も出ている。そのようなわけで、本格的に試験台に上がったキム最高裁長官の今後の行動と裁判所内部の反応が注目される。