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判事の性向を「赤・青・黒」に分類…ヤン・スンテ最高裁長官、批判的人物を査察

登録:2018-01-24 07:16 修正:2018-01-24 08:56
ヤン・スンテ最高裁、判事査察の波紋
裁判所行政処の全方位的行政権濫用
ヤン・スンテ前最高裁長官が2016年9月6日、ソウル瑞草洞の最高裁判所で開かれた全国裁判長会議に固い表情で入場している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

批判的判事や集まりに対し瓦解戦略
司法行政委の構成方式が問題になるや
強硬な判事を後順位に推薦するなど“影響力”行使
「ウリ法会員」の単独判事会議選挙出馬に
競争候補の公約支援など当選阻止を計画
「人権法研究会」牽制対応策の報告も

裁判官のオンラインの集まりに浸透し査察
ダウムカフェに接近し情報収集
“自発的閉鎖誘導”など対応策

最高裁行政処「不適切性」を認知
「上告裁判所」反対の声阻止に総力
「公けになれば大きな反発」と保安維持を強調

 最高裁の追加調査委員会が22日発表した調査結果により、ヤン・スンテ前最高裁長官時代に裁判所行政処が「大統領府と隠密な取引」を交わしただけでなく、行政処主導の司法行政に批判的な判事を査察し、対応策まで立てた事実が明らかになった。進歩・保守の性向や、障害、出産経験の有無などを基準に裁判官を任意に分類したり、裁判官の「司法行政参与」を督励するために作られた委員会の構成にも影響力を行使した。 特定の研究会の活動を妨げるために短期・中期の対応策を作り、その一部は実行もされた。

■ 判事の性向により「赤」・「青」・「黒」に分類

 行政処は最高裁長官および行政処の司法行政に批判的な判事の集まりに対しては瓦解戦略を駆使する一方、行政処が推進した機構に“問題判事”を入れる方式で希釈を試みる緻密な“ツートラック”戦略を立てたものと見られる。

 2016年初頭、司法行政委員会の構成方式に問題が提起されると、行政処は批判的な裁判官を「核心グループ」(ウリ法研究会の前・現会員)と「周辺グループ」(国際人権法研究会会員)に分類し、対応策を立てた。司法行政委は第一線の判事が司法行政に参加するよう作られた機構だったが、委員を高裁の所長が推薦し行政処が委嘱するようにしたため批判を受けていた。

 同年3月28日、行政処は高裁所長に提供する目的で判事たちの動向把握文書を作成した。「ウリ法研究会・人権法研究会との関係」、「裁判官社会の象徴性」などを考慮して「必ず含める」(第1順位)は赤、「有力な候補群として考慮」(第2順位)は青、第3順位は黒に分類して推薦のレベルを分けた。K判事は「障害にもかかわらず明るく合理的、視覚障害者としての象徴性」という理由で、N判事は「ウリ法研究会の核心メンバーで、進歩性向の判事に強い影響力を有す、戦略的思考に長じているが主張が強硬な方ではない」という理由で第1順位に推薦された。ウリ法研究会所属の何人かの判事は“強硬性”を理由に第3順位に押し出され、また、行政処審議官などについては「核心グループに攻撃の機会を提供することになる」として消極的な推薦方針を立てた。

 2016年3月にソウル中央地裁の単独判事会議の選挙に出馬したT判事に対しては「ウリ法研究会会員」「行政処を非難する声明書を採択する可能性」などを理由に、当選を阻み他の判事を支援するという計画を立て、選挙公約発掘など具体的な支援方案まで作りもした。

 行政処に批判的な人権法研究会が2016年末に「共同学術大会」開催論議に入ると、行政処は中・短期に分けて緻密な対応策を立てた。 中期策の一つである「研究会重複加入解消措置」は実際に実行もされた。 予算削減および別の研究会行事開催で当該研究会を牽制する策なども論議された。 イム・ジョンホン当時行政処次長の指示で作成されたこれらの文書は、室長・処長の週例会議に報告された。 しかし、イ・ギュジン量刑委常任委員は去年の真相調査当時、この文書について口を閉ざした。

■ 匿名カフェに加入して判事個人を査察

 行政処が判事たちのオンライングループに“浸透”して情報を収集し、対応策を模索したことを示す文書も明らかになった。 行政処は2014年末、女性判事を中心に作られたポータルサイト「ダウム」の匿名の判事カフェ「いちかばちかの大騒ぎ」の現況を把握して対応策を書いた文書を作成した。情報収集は行政処審議官がカフェのアカウントを確保するか、別途に会員加入する方式で行なわれた。 行政処は上告裁判所および双龍(サンヨン)自動車解雇労働者に対する最高裁の有罪判決などに批判的な文とコメントを“問題ある文”に分類した上で、「カフェの自発的閉鎖を誘導」「最高裁の公職者倫理委員会勧告意見などに違反する素地があるという点を説得用・おどし用カードとして活用」などを対応策として立てた。ただ、この文書を作成した審議官は当該文書を基調室長などに報告しなかったと追加調査委で述べたという。

■ 不適切性知りながらも“拠点裁判官”植え付け

 行政処は当時ヤン・スンテ最高裁長官が念入りに推進していた上告裁判所などに対する批判を「最高裁長官と行政処に対する揺さぶり」と規定したものと見られる。 行政処企画調整室が2015年7月作成した「上告裁判所と関連する内部反対動向対応策」という文書によれば、行政処は「反対の声が表出された場合、外部の反対勢力に対する説得が不可能な状況になりかねない。(反対判事の)勢力結集自体を阻止する必要がある」とした。

 しかし、行政処自らもこのような全方位的査察が問題になり得るということを知っていたものと見られる。 2016年8月に企画調整室で作成した「各級裁判所の周期的点検策」という文書によれば、行政処出身の判事などいわゆる“拠点裁判官”を通して一線の裁判所の判事たちの動向を把握するという計画が出てくる。 そして同時に「非公式的情報収集の事実が明らかになった場合『裁判官査察』『裁判介入』など大きな反発が予想されるので、徹底的な保安維持が必要である」と書かれている。追加調査委は「判事が司法政策を批判したという理由で司法行政担当者が対応策を立てる内容の文書を作成したならば、その事実だけでも裁判官の独立に否定的影響を及ぼす蓋然性がある」と明らかにした。

ヒョン・ソウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/828916.html韓国語原文入力:2018-01-22 22:10
訳A.K

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