本文に移動

「失われた11年」に共感した両首脳、「平和と繁栄」に向けた合意への意志示す

登録:2018-04-27 15:43 修正:2018-04-27 17:46
文在寅大統領と金正恩委員長、首脳会談の冒頭で合意と履行を強調 
第1・2回首脳会談当時とは異なる姿勢…「平和」と「共同繁栄」の目標を強調 
文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が27日、板門店「平和の家」で首脳会談を始めながら冒頭発言を行っている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は27日午前10時15分、板門店の平和の家で始まった「2018南北首脳会談」の冒頭の場面を世界のメディアに公開した。第1・2回南北首脳会談とは異なる姿勢で、協議結果に対する期待を高めている。

 何より両首脳は11年もの歳月を無駄にしたことを惜しんだ。金委員長は、短い冒頭発言で、「11年」を3回も言及した。その中で2回は「失われた11年」と表現した。文大統領も「11年もの間できなかった話を、今日十分交わせることを望んでいる」と述べた。2007年10月、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記の首脳会談後、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権を経て南北関係が対立と衝突で悪化の一途を辿ってきたことに対する悔恨だ。

 これと関連して、金委員長は「(今回も合意してから)きちんと履行しなければ、期待を抱いた方たちをむしろ落胆させる結果になるだろう」とし、「過去のようにまた振り出しに戻って履行できないような結果よりは、未来を見据えて、志向性を持って(南北が)手を携えて歩いていく契機」にすべきだと強調した。南北とも、合意したことについては最善を尽くして履行する姿勢を堅持すべきという誓いであり、(南側に対する)注文でもある。

 両首脳は南北が目指すべき究極の目的についても認識を共有した。金委員長は「平和繁栄の南北関係」だと述べた。文大統領は今日は「平和」に焦点を合わせた。文大統領は「朝鮮半島は春真っ盛りだ」として、「金正恩委員長が史上初めて軍事境界線を越えた瞬間、この板門店は分断の象徴ではなく、平和の産屋となった」と述べた。「板門店会談」で、朝鮮半島の平和を育もうという喩えだ。ただし、文大統領は「究極の目的は共同繁栄」(今月19日、マスコミ社長団との大統領府招待の昼食会)」だと再三強調してきた。南北首脳会談準備委員長であるイム・ジョンソク大統領秘書室長も26日の記者会見で、「平和と繁栄を祈願」すると述べ、両首脳が南北の「平和と繁栄」を視野に入れた協議を進めることを明確にした。

 両首脳は、このような目標・目的の共有を前提に、11年ぶりの首脳会談に臨む覚悟と願いを率直に明らかにした。文大統領は「この状況を作り出した金委員長の勇断にもう一度敬意を表したい。今日の我々の対話もそんな風に大胆に進めよう」と呼びかけた。金委員長は「虚心坦懐に、真剣に、率直に、文大統領と良い対話をする」と誓った。

 両首脳は合意への意志も強調した。文大統領は「合意に達し、我が民族と平和を望む世界すべての人たちに、大きな誠意を示したい」という切実な思いを隠さなかった。金委員長は「懸案問題や関心事となる問題について、 胸襟を開いて話し合い、必ず必要な話をして、良い結果を生み出してみせる」と決意を固めた。

 両首脳は、実務責任者らがあらかじめ調整した今回の会談の3大議題である朝鮮半島の非核化と恒久的平和定着、南北関係の画期的改善と関連し、メディアの前で具体的な言及は避けた。しかし、協議の目標に対する認識や会談に臨む態度、第1・2回首脳会談以降、11年間で後退した南北関係に対する省察などにおいて、相当な共同基盤の上にあることを示した。政府関係者が「両首脳の対話と交渉、談判の結果に期待を抱いている」と話すのも、そのためだ。

 金委員長は平和の家の芳名録に「新しい歴史はこれから。平和の時代、歴史の出発点にて」と書き込んだ。南北首脳会談準備委員会が定めた今回の会談の公式スローガン「平和、新しい出発」と認識は変わらない。軋轢や対立、衝突で点綴され、前進と後退を繰り返してきたこれまでの南北関係とは異なる関係への跳躍台を、今回の会談で作り出すということだ。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/842384.html韓国語原文入力:2018-04-27 12:30
訳H.J

関連記事