2018南北首脳会談を4日後に控えた23日、韓国軍当局が軍事境界線一帯の最前方地域の対北朝鮮拡声器宣伝放送を電撃的に中断した。27日の首脳会談当日には韓米合同演習も実施されない見込みだ。北朝鮮が20日、党中央委全員会議を契機に「豊渓里(プンゲリ)核実験場廃棄」および「核実験と大陸間弾道ミサイル試験発射中止」という先制的な信頼構築措置を取り、南側からも相次いで友好的先制措置で呼応している。
国防部はこの日発表文を出して「国防部は2018南北首脳会談を契機に南北間の軍事的緊張緩和および平和な会談のムード造成のために、今日(23日)00時を期して軍事境界線一帯での対北朝鮮拡声器放送を中断した」と明らかにした。国防部は続けて「今回の措置が南北間の相互誹謗と宣伝活動を中断し、“平和、新しい始まり”を作る成果につながることを期待する」と付け加えた。
国防部の対北朝鮮拡声器放送を中断する措置は、朴槿恵(パク・クネ)政府の時である2016年1月に北朝鮮の4回目の核実験に対応する措置として拡声器放送を再開して以来2年3カ月ぶりだ。対北朝鮮拡声器放送は、ラジオFM「自由の声」放送を最前方地域に送出する対北朝鮮心理戦の手段で、計約40カ所で放送されている。
今回の対北朝鮮拡声器放送中断措置は22日、ソン・ヨンム国防部長官の決定により関係部署協議を経て文在寅(ムン・ジェイン)大統領に報告されたと国防部は説明した。北側には事前通報しなかった。分断以来、南と北が事前の合意なしに先制的に心理戦放送を中断することは今回が初めてだ。国防部当局者は「今回が初めてと承知している」として「南北首脳会談が南側で開かれるので(南北間の軍事的)緊張緩和を考慮して(措置)することになった」と話した。
23日午後まで北側の対南拡声器宣伝放送中断の有無は確認されなかったが、軍当局は南側の先制的友好措置により、まもなく北側も対南宣伝放送を中断するのではないかと「(北側の)呼応を期待する」と話した。北側が呼応して対南宣伝放送を中断するならば、これは2004年6月の南北将軍級会談で採択した「西海(ソヘ)海上における偶発的衝突の防止と軍事境界線地域での宣伝活動中止および宣伝手段除去に関する合意書」(6・4合意)の復元に向けた第一歩という意味がある。南北は当時、6月15日から軍事境界線地域ですべての宣伝活動を中止する一方、同年8月15日までにすべての宣伝手段を除去し、宣伝活動を再開しないことに合意した。南側は当時、軍事境界線近隣の対北朝鮮拡声器と大型電光掲示板を撤収した。今回も南北の軍当局がそろって相互拡声器宣伝放送を中断するならば、南北首脳会談での合意とあいまって拡声器の撤去につながりうるという展望も出てくる。
2004年の拡声器撤去で中断された対北朝鮮宣伝放送は、2010年の天安艦事件以後、李明博(イ・ミョンバク)政府が取った対北朝鮮制裁である「5・24措置」の一環で軍が「自由の声」放送を再開したことによってまた始まった。5年後の2015年8月、非武装地帯(DMZ)で南側軍将兵2人が北側の埋設した木棺地雷を踏んで重症を負う事件が発生し、軍は最前方11個地域で対北朝鮮拡声器放送を拡大施行した。その後の南北高官当局者接触で南北は対北朝鮮拡声器放送の中断を含む「8・25合意」を採択し、再び放送を中断した。
これに先立って大統領府が「画期的な軍事緊張緩和を含む恒久的平和定着」を4・27南北首脳会談の3大議題の一つとして明らかにしただけに、今回の軍当局の措置は南北首脳が軍事的緊張緩和方案を議論するうえで潤滑油の役割を果たす見通しだ。
しかも、この日始まったキーリゾルブ(KR)だけでなく、今月末に終了する計画だったトクスリ(FE)訓練も、首脳会談の前日である26日頃に終了する予定と伝えられた。首脳会談当日である27日には、韓米合同軍事演習もしばらく様子見に入る局面だ。軍当局は、韓米合同演習の日程は南北首脳会談と関係なく、27日(金曜日)に訓練がないのは日程に従った結果であり例年と違いはないと説明している。だが、どんな名分であれ、首脳会談当日に韓米両国軍の軍事演習中断という友好的措置は、会談に肯定的影響を及ぼすだろうと予想される。