本文に移動

サムスンの「営業秘密」主張に阻まれた半導体労働者の健康権

登録:2018-04-19 05:41 修正:2018-04-19 09:14
産業部、サムスンの作業環境報告書 
「有害物質・工程も国家核心技術」 
労働者の労災認定ための主要資料 
サムスン側「公開できない」理由に使われる見込み
「パンオルリム」のメンバーと「サムスン労働人権守り役」らが昨年10月、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の控訴審初公判が行われているソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所前で記者会見を開き、裁判所にイ副会長の厳重処罰を求めている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 産業通商資源部がサムスン電子半導体工場の作業環境測定結果報告書(作業環境報告書)に「国家核心技術」が含まれているという結論を下した。今回の決定で、労働災害の被害者らが求めてきた作業環境報告書の公開はさらに困難になった。当初、同報告書の公開を決定した雇用労働部と産業保健専門家らは、産業部の今回の決定が労働者の健康権と知る権利を委縮させる恐れがあるとして、懸念を示している。

 産業部半導体専門委員会は17日、サムスン電子の華城(ファソン)・器興(キフン)・平澤(ピョンテク)・温陽(オンヤン)工場の作業環境報告書に国家核心技術である「30ナノメートル以下級DRAMやナンドフラッシュ、無線共有機の工程および組み立て技術」が含まれていると判定した。作業環境報告書の「単位作業場所別の化学物質名」や「(化学物質の)測定手順」、「(工程)レイアウト」、「(化学物質)の取扱量」などを見れば、該当技術を類推できるというのが産業部の判断だ。

 産業安全保健法によると、事業主は作業環境報告書の内容を当該空間で働く労働者に知らせ、労働者が要求すれば、報告書に対する説明会を開かなければならない。事業主にこれらを義務付けたのは、労働者も自らの健康権を守るためには作業環境の危険要素を把握する必要があるからだ。サムスン電子同様、半導体を生産するSKハイニックスは社内ネットワークで同報告書を公開している。

 今回のサムスン半導体工場の作業環境報告書が「国家核心技術」と判定されたことで、労働者の情報アクセス権が萎縮されかねないという懸念の声もあがっている。雇用部の関係者は「(国家核心技術の判定が)事業主には労働者らに報告書を公開しない名分になる可能性が高い」と話した。

 何より産業部の今回の決定は、労働災害の被害者に大きな障害として立ちはだかる可能性が非常に高い。現在、雇用部に作業環境報告書の情報公開を請求した6人のうち、放送局のプロデューサー1人を除いた5人が労働災害の被害者だ。労災の立証責任が労働者本人にある状況で、白血病などがんを誘発する化学物質への露出可能性を把握できる代表的な立証資料は、工程別の化学物質の名称と露出量が書かれた作業環境報告書だ。同報告書は6カ月に一回作成されるため、労災の発生後、当該工程がなくなったとしても、勤務経歴に基づいて露出した化学物質を知ることができる。しかし、産業部が化学物質名・工程レイアウトなどがすべて国家核心技術に当たると判定したことで、労災認定に必要な核心要素を活用できなくなったのだ。

 このため、作業環境報告書の公開を決定した雇用部は、産業部の具体的な決定内容について、18日から検討作業に入った。雇用部の関係者は「労働者の生命と安全に関する情報は公開すべきという雇用部の方針には変わりがない」とし、「産業部の判定の内容を具体的に検討し、情報公開などに関する立場を決める」と話した。

 チェ・サンジュン大邱カトリック大学教授(産業保健学)は「国家核心技術という化学物質・公正資料は、インターネットでも簡単に検索できるサムスンの特許資料を通じても詳しく把握できる」とし、「問題になるのは作業環境報告書に記載された有害物質への露出可能性だが、サムスンは(雇用部が)国家核心技術を全面公開を進めているかのように世論を誘導している」と指摘した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/841170.html韓国語原文入力:2018-04-18 21:20
訳H.J

関連記事