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サムスン、作業環境報告書公開を拒否…専門家ら「営業秘密侵害を主張、理解できない」

登録:2018-04-11 07:45 修正:2018-04-11 11:32
パンオルリム会員とサムスン労働人権守護者たちが昨年10月12日午前、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の控訴審初公判が進行中のソウル瑞草区ソウル中央地裁裁判所前で記者会見を開き、裁判部にイ副会長の厳重処罰を求めている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 サムスンの半導体工場に対する作業環境測定結果報告書をめぐる議論が続いている。雇用部は産業災害の被害者の迅速な被害補償のために報告書の公開が必要だという態度である反面、サムスン電子はこの報告書に「営業秘密が含まれている」とし、これを産業災害被害者側に公開した雇用部を相手に行政審判・訴訟で対抗している。これに対し、多くの産業保健専門家らは「サムスンの主張は納得しがたい」と言う。

 産業安全保健法は、有害化学物質などを取り扱う事業所を対象に6カ月に1回以上、専門資格を備えた外部機関を通じて作業環境を測定するように規定している。その結果報告書には工程別の化学物質の使用実態と単位作業場所別の有害因子(有害物質)測定位置図、有害因子測定結果、労働者たちの有害因子の露出時間などが総合的に紹介される。該当事業場は結果報告書を労働者が閲覧できるように備えなければならず、地方雇用労働庁にも提出しなければならない。

 サムスンは「単位作業場所別有害因子測定位置図」を通じて工程配置および工程ごとの流れを知ることができ、有害因子測定結果を通じて「他のメーカーで使わない化学物質が知られる可能性がある」と主張する。

 サムスンのこのような主張に対して、専門家らは「理解できない」という反応だ。ソウル大学保健大学院のユン・チュンシク教授(産業保健学)は10日にハンギョレとの電話取材で「測定位置図は基本的にどの位置から有害物質があらわれたのか確認するためのものであり、四角に縦の線を引いておくレベルに過ぎない」とし、「会社が測定機関に提供する作業工程図も機密事項は除いて概略的な位置だけを提供する」と明らかにした。放送通信大学のパク・ドンウク教授(環境保健学)も「サムスンが営業秘密だと主張する化学物質の配合比率などは、報告書を通じて知ることができない内容」だとし、「報告書が具体的にどのように営業秘密を侵害するというのか、サムスンが自ら明らかにしなければならない」と話した

 作業環境測定を企業が選定した外部機関に委託して進行しているだけに、営業秘密が報告書に書かれるはずはないという指摘もある。匿名を求めた25年経歴の作業環境測定機関代表は「企業が営業秘密だと判断する場合には測定機関にさえも生産設備の現況などを提供しない場合もある」とし、「報告書で最も重要なのは化学物質の量だが、量が多すぎたりいい加減に書かれていてサムスンが公開を嫌がっているのではないかと疑われる」と明らかにした。

 裁判所も韓国産業保健学会に「事実照会」を要請した資料をもとに、公開が妥当だという判決をすでに下した。大田(テジョン)高裁は2月、労災被害者遺族が大田地方雇用労働庁の天安(チョナン)支庁に対し、「サムスン電子の温陽(オニャン)工場の作業環境測定報告書の公開」を求めて起こした訴訟で、「測定位置図が公開された場合、サムスン電子の生産方法などに関する技術的ノウハウが流出されたり、取引先または競争メーカーによってサムスン電子の生産能力に関する情報が利用されることで、サムスン電子の正当な利益を顕著に害するおそれがあると見ることはできない」と指摘した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/840004.html韓国語原文入力:2018-04-10 20:39
訳M.C

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