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[ニュース分析]対北朝鮮特使として派遣されるのは?

登録:2018-03-03 05:53 修正:2018-03-03 07:04
対北朝鮮特使、「現職高官級」に圧縮 
 
ソ国家情報院長、文在寅政権最高の対北朝鮮戦略通 
金与正・金英哲が訪韓した際も全面に 
 
チョン安保室長、韓米同盟亀裂説を無難に収拾 
北朝鮮核問題・朝米関係取り上げる場合も負担少なく
ソ・フン国家情報院長//ハンギョレ新聞社

 2011年に北朝鮮の最高指導者になってから、対外接触がなかった金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長に、韓国政府当局者が初めて直接会い、南北関係の改善や非核化などについて協議することが現実味を帯びている。この任務を遂行する対北朝鮮特使ついて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、多角度からの検討を重ねてきたという。

 対北朝鮮特使は、大統領の“代理人”の役割を果たさなければならず、高官級の中でも大統領と緊密で胸を開いて話し合える腹心であり、朝鮮半島の懸案を正確に把握している人物でなければならない。最初の対北朝鮮特使団の団長としてソ・フン国家情報院長が有力視されているのも、このためだ。ソ院長は、2000年の第1回南北首脳会談と2007年の第2回首脳会談を実現させた文在寅政権の最高の対北朝鮮戦略通の上、文大統領の「朝鮮半島平和構想」の下絵を共に描いた最側近である。ソ院長は、金正恩労働党委員長の特使として先月9日に訪韓した金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長が、大統領府で文大統領と面会する際にも陪席しており、先月25日から2泊3日間訪韓した金英哲(キム・ヨンチョル)党中央委副委員長(統一戦線部長)との協議も主導したという。ただし、ソ院長は、文大統領の最側近参謀であるにもかかわらず、「スパイを捕まえる国家情報院長を特使として派遣するのは不適切だ」という野党の反発が激しく、特使団の派遣がもたらす政治的な負担を最小化しようとする文大統領が、どのような決定を下すかはまだ不透明だ。

 ソ院長と共に有力な対北朝鮮特使として取り沙汰されているチョン・ウィヨン大統領府安保室長は、南北関係の専門家ではないが、文在寅大統領の外交・安保の指令塔の役割を果たしており、朝鮮半島の懸案を全般的に調整する高官である。チョン室長は、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)体系の配置などをめぐり、「韓米同盟に亀裂が生じた」と噂されていた文在寅政権発足初期に訪米し、ホワイトハウスと無難に状況を収拾したという評価を受けた。今回、特使が取り上げる主なテーマが北朝鮮の核問題と米朝関係という点と、韓米の保守世論を考慮すれば、トランプ政権の基本的な信頼を確保したチョン室長を送るのが政治的負担が少ないという声も、大統領府内外で上がっている。チョン室長もソ院長同様、文大統領が金与正副部長に面会した際に同席した4人の中で一人だ。また、文大統領を除いて、大統領府が唯一金英哲副委員長の訪韓当時、南側が伝えたメッセージを公開した人物でもある。チョン室長とソ院長が役割を分けて一緒に行く案も検討されているという。

 今度の特使団には、金英哲副委員長ら北朝鮮の2回の高官級代表団の訪韓を調整したキム・サンギュン国情院次長をはじめ、大統領府安保室と統一部の実務陣が含まれるものとみられる。

チョン・ウィヨン大統領府安保室長//ハンギョレ新聞社

 当初、大統領府は金大中(キム・デジュン)政権時代に南北関係を総括したイム・ドンウォン元統一部長官などを対北朝鮮特使団に含める案も検討していたという。しかし、今回には問題を解決できる公式ラインの高官級政府当局者を送る方針を固めたとされる。朝米共に原則的には「対話の扉」を開いている状況で、4月に再開される見通しの韓米合同軍事演習前に今の膠着状態を終わらせ、米朝対話の突破口を実質的に開くために文在寅政権が選んだのが、対北朝鮮特使というカードであるからだ。

 大統領府関係者は同日、記者団に「特使が、北朝鮮が考えるさまざまな話を聞いて来ると期待している」とし、「実務レベルで話をするだけではないという期待感」をのぞかせた。

 専門家らは今度の特使団の任務を朝米対話の糸口、すなわち、いかなる形であれ非核化に向けた北側の意志を確認することだと見ている。イ・ジョンソク元統一部長官は最近、ハンギョレのコラムで「金正恩から条件付きの非核化に向けた意志を引き出すこと」を対北朝鮮特使の役割として示した。ク・ガブ北韓大学院大学教授も「朝米が対話に出てくるよう導くのは特使の最も重要な役割」だとし、韓米合同軍事演習の中止または縮小という北朝鮮の要求と、北朝鮮の核・ミサイル実験の凍結という韓国側の要求をめぐる協議がカギになるだろうと予想した。

 文大統領は対北朝鮮特使(の派遣)を一過性のものにはしない考えだと、与党関係者は伝えた。文大統領が先月25日、金英哲副委員長など北側代表団と面会し多彩に強調した「朝鮮半島問題の本質的解決」は、短時間で成し遂げられるものではないだけに、必要に応じて南北の最高指導者が随時特使団を交換すべきということだ。

キム・ジウン、キム・ボヒョプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/834444.html韓国語原文入力:2018-03-02 22:24
訳H.J

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