「私は分かれた二つよりも一緒になった一つが強いと思います」(北朝鮮のチョン・スヒョン選手)
「競争構図は良い。プレーできない選手が生じるのは良くない」(韓国のパク・チョンア選手)
10日、江陵(カンヌン)関東大学ホッケーセンターで開かれたスイスとの五輪初試合の敗北(0-8)の後、記者会見で南北の看板選手たちは「単一チームの効果」を問う質問にこのように答えた。北朝鮮の攻撃手チョン・スヒョン(22)は「三人寄れば文殊の知恵」という原論を語り、韓国のゴールゲッターのパク・チョンア(22)は北朝鮮選手加勢で行われた激しい内部競争の長所と短所を指摘した。
両選手の見方は、今後行われる南北スポーツ交流の方向性を提示する。南北双方が対等な実力を備えた種目では競争の効果による「ウィンウィン」が可能である。大韓アイスホッケー協会の関係者は「すでに南北の体育関係者らの間では交流戦の開催など交感がある」と明らかにした。南側が優位な種目では、北側の競技力を速く引き上げることもできる。平昌五輪ではショートトラックで南北合同練習が行われた。規模が小さく疎外された冬の種目は、南北スポーツ交流に適している。
女子アイスホッケーの単一チームづくりは、国際オリンピック委員会(IOC)の主導的な努力と南北当局の利害が一致した側面がある。超スピードで事が進み、その負担は南北のコーチングスタッフと選手たちがすべて背負った。それにもひるまず逆境を克服し、単一チームは平昌五輪の主人公になった。もし五輪が終わって「一過性のイベント」として忘れられ、「こんなことのために単一チームにしたのか…」という嘆きが出るようになってはいけない。
南北スポーツ交流の持続性は時間と準備によって生まれる。サラ・マレー単一チーム総監督もスイス戦の敗北後「準備する時間が足りなかった。昨年から単一チームを作ればよかった」と話した。その指摘を重く受け止めなければならない。
国際大会で常に会う南北の体育関係者と選手たちの間には、一種の“共感”がある。江陵選手村でも、南北の関係者らは日常的に遭遇する。ショートトラックの合同訓練が行われたのも、彼らが現場で交流しアイデアを出したからである。
南北スポーツ交流だけは統一部ではなく、専門性や支援体制を備えた文化体育観光部(文体部)と大韓体育会が重心になるべきだ。そうしてこそ、体育団体の自律的な交流を活性化させることができる。事前接触承認など法規定が過度に官僚化し、南北スポーツ交流の足かせになることがあってはならない。
10日、単一チームとスイス戦は南北の首脳部、スイス大統領、IOC委員長が観戦した。日本対スウェーデン戦には日本の安倍首相が参席した。スポーツがなければ実現しなかった場面だ。
スポーツの純粋性を守ろうとする選手たちと現場の指導者たちは尊重されなければならない。彼らに南北の境界はない。チョン・スヒョンとパク・チョンアがもっと楽に運動できるようにするのは、南北政府双方の義務だ。