「北朝鮮のイバンカ・トランプが韓国人の心をとらえている」 「金与正(キム・ヨジョン)の訪問が『外交のダンス』だったら、彼女は金メダルだろう」
米国ワシントンポストとCNN放送は10日、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長の特使として平昌(ピョンチャン)冬季五輪にあわせて韓国を訪問した金与正・労働党中央委員会第1副部長の積極的行動をこのように表現した。ワシントンポストはこの日、金与正をドナルド・トランプ米大統領の長女であり、外交舞台で影響力を行使しているイバンカ・トランプ氏になぞらえて、「北朝鮮のイバンカ・トランプ」と大きく紹介した。新聞は「政治的王女」である金与正が、北朝鮮の“初めての妹”として、富や権力に対して何も表わさなかったことが予想外だと評価し、「金与正は薄化粧に地味な装いで“謎めいた”微笑だけを見せている」と描写した。
CNNは、「独裁者金正恩の妹が平昌冬季五輪の関心を一人占めしている」という記事を出し、金与正が大統領府を訪問し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と握手を交わしたり、大統領府の芳名録に暖かいメッセージを残すなど、一日で大衆に身近に近付き魅力を見せたと評価した。金与正副部長は南北単一チームとして出場した女子アイスホッケーチームの競技を文大統領と共に観覧し、端正なワイン色のジャケットを着て、統一部主管の晩餐に参加したと彼女の日程を詳細に紹介した。CNNは、金与正の公式序列は明確になっていないが、金委員長と共にスイスで留学生活をし、金日成大学とヨーロッパの学校に通ったと見られると説明した。CNNは金与正の韓国訪問が平昌冬季五輪閉会式に参加する予定のイバンカを意識して高度に計算されたものだったと付け加えた。
北朝鮮全国委員会の創立者であるバルビナ・ファン・ジョージタウン大学招聘教授は「金与正は(イバンカに並ぶ)完ぺきな相手」としながら「(金与正の登場は)北朝鮮が気がおかしい異常な過去の冷戦国家ではなく、能力があり未来の指導者になりうる若い女性がいるという信号」と分析した。
北朝鮮の指導者を研究してきたケン・ゴース米海軍分析センター国際関係局長は「金与正の権力は、指導者との近接性のために存在する。金与正は金正恩が自身の政権で誰よりも強く信頼する人」と明らかにした。ワシントン戦略国際研究所で働く元中央情報局(CIA)韓国担当官のスミ・テリー研究員は「家族としてつながっているという点や、説得力あるセールス能力を要求されているという点」で「北朝鮮のイバンカ」と明らかにし「人間の顔を持った全体主義だ。彼女は善意を持てない国から来た善意を持つ大使のように行動している」と指摘した。