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[社説]平昌越え「平和の道」開く五輪へ

登録:2018-02-09 07:33 修正:2018-02-09 09:40
平昌冬季五輪に参加した北朝鮮選手団が今月8日、江陵選手村で開かれた入村式で五輪の公式マスコットであるスホラン、ボランティアたちと手を握って一緒にダンスを踊っている//ハンギョレ新聞社

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪が9日、ついに幕を上げる。先月初め、北朝鮮の参加が電撃的に決まった後、南北会談が開かれ、南北単一チームの構成と合同入場が決定されて、キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長に続き、キム・ヨジョン労働党中央委員会第1副部長の参加が発表されるまで1カ月の間、息つく間もない破格が続いた。わずか前までは想像すらできなかった事を「平昌の力」で引っ張ってきたのだ。もう「平昌」は通常の五輪とはその意味が明らかに違う。

 「スポーツと政治は分離しなければならない」が、今、平昌で行われていることは単なる「政治」の問題ではない。狭義には北東アジア、広くは地球全体の安全と平和が、平昌五輪と直結されている。あまりにも簡単に朝鮮半島における「軍事オプション」「先制攻撃」などの言葉が飛び出していたため、平昌冬季五輪が南北関係の改善と朝鮮半島の緊張解消の足がかりになるのは、国際社会の共通した願いだろう。こうやって一歩“平和”に進むことが、本来の五輪の精神とも合致する。

 キム・ヨジョン副部長とキム・ヨンナム委員長の10日の大統領府訪問で、朝鮮半島の平和に向けた南北の率直で真摯な論議を期待する。その結果によっては、次は私たちが答礼の形で北朝鮮に特使を派遣するのも自然なことになりうる。そのように信頼を積み上げながら、「平昌」を通じて用意された南北関係改善の火種を継いでいかなければならない。

8日夕方、江原道江陵市庁前で開かれた前夜祭の現場を照らす聖火。力強く燃え上がる炎が大長征のはじまりを知らせている=江陵/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

北朝鮮代表団の訪韓、「朝米対話」の端緒を開け

 残念で不安なのは米国の態度だ。平昌冬季五輪のために訪韓したマイク・ペンス副大統領は「北朝鮮側と会わない」と述べるなど、今の雰囲気とかけ離れた言葉ばかりを繰り返している。北朝鮮がキム・ヨジョン氏まで派遣したことを見ると、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長も状況変化を強く希望していると見ることができる。8日に開かれた建軍節の軍事パレードに、当初招待していた外信記者らを返し、例年のように実況中継をしなかった点からも、北朝鮮なりの誠意ある行動を垣間見ることができる。このような機会を無視して朝鮮半島が再び鋭い緊張の中に陥れば、米国はその責任を避けがたい。平昌五輪が朝米対話の扉を開く第一歩になることを願う。文在寅(ムン・ジェイン)政府は「南北外交」だけでなく、朝米対話のための「仲裁外交」でも成果を出すべきだ。

 

 一部の保守層は、北朝鮮の五輪参加自体を「体制宣伝攻勢」と罵倒する。しかし、韓国国民が北朝鮮の「体制宣伝」に魂が奪われ無防備体制になるかもしれないと心配するのは杞憂に過ぎない。6日、北朝鮮芸術団を乗せた万景峰号が到着するときに、墨湖(ムクホ)港に出て北朝鮮の国旗である人共旗と朝鮮半島の描かれた統一旗、金正恩委員長の写真を燃やして騒動を起こした一部の保守団体の醜態に我慢できなくなった江原道民らが、記者会見を通じて「平昌平和五輪を妨害する勢力は清い江原道から直ちに出ていけ」と訴えたほどだ。自由韓国党などが平昌五輪の間「平壌(ピョンヤン)五輪」攻勢を続けるのは、何の名分もない。

8日午後、江原道江陵市役所前で開幕式の前夜祭が行われ、江陵芸総青少年合唱団が公演をしている=江陵/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

世界が祝う行事、「対立助長」はもうやめよう

 北朝鮮芸術団が宿舎がままならず万景峰号で訪韓すると、保守メディアは5・24措置違反と文句をつけた。また、北朝鮮側が水と燃料の提供を要求すると、「国連制裁違反」だと非難し、北朝鮮代表団にチェ・フィ国家体育指導委員会委員長が含まれると、「旅行禁止対象」だとして、国連制裁を撤去しようとする意図だと攻撃した。だが、国連安保理はチェ・フィ委員長の訪韓の発表後、24時間も経たないうちに「適切な考慮によって」例外を適用したとし、彼の韓国訪問を承認した。国際社会はこのように南北が一つになる平昌五輪を祝い、うまくいくことを願っているが、いざ韓国内部で些細な言いがかりを絶えず助長する勢力があるというのは、恥ずかしく心苦しいことだ。

 フランチスコ・ローマ教皇は8日、北朝鮮選手団の五輪参加について「朝鮮半島の和解と平和に対する希望を提示した」と評価した。平昌から吹いてくる“平和”の気運が朝鮮半島、ひいては国際社会全体に、五輪を越えてつながることを全世界の人々と共に心から祈る。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/831486.html韓国語原文入力:2018-02-08 19:12
訳M.C

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