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「冷徹な勝負師」マレー監督の頭に“政治”はなかった

登録:2018-02-06 07:36 修正:2018-02-06 09:13
政治に神経つかわず、客観的評価で選手を起用 
韓国、北朝鮮を問わず、「内部競争」を勧め 
世界的な監督である父アンディのアドバイスが大きな力 
10日から世界の視線が集中する歴史的な試合
サラ・マレー女子アイスホッケー南北単一チーム総監督が5日午後、江原道江陵関東ホッケーセンターで訓練を指揮している。江陵/聯合ニュース

 マレー総監督の頭に“政治”はなかった。勝負師の気質だけを見せた。

 サラ・マレー南北女子アイスホッケー単一チーム総監督(30)が4日、スウェーデンとの強化試合(1-3敗)で冷血な戦術を見せ、「勝負師気質はど折り紙付きだ」という評価を受けている。マレー監督はこの日、12人の北朝鮮選手のうちチョン・スヒョン、キム・ウンヒャン、リョ・ソンヒ、ファン・チュングムなど4人を投入した。北朝鮮選手たちが合流する前に「北朝鮮選手は1~3組には入れないだろう」としたが、チョン・スヒョンを2組に入れ、リョ・ソンヒは3組に配置した。4組ではキム・ウンヒャンとファン・チュングムが走れるようにした。ただ、4組のファン・チュングムはほとんどベンチに留まる程度で活用度は落ちた。

 マレー総監督が北朝鮮選手を積極的に配置したのは、韓国チームの中核であるパク・ウンジョンとヒス・グリフィンが軽い負傷で抜けたという理由もある。だが、競争力のある選手を走らせるという指導者としての哲学が大きく作用したものとみられる。

 もちろん当初、苦楽を共にした韓国選手が平昌(ピョンチャン)五輪で少なくとも一試合以上プレーするのは確かだ。選手たちが負傷する場合もあり、相手によって選手の構成を変えることもある。しかしマレー総監督は、スウェーデンとの強化試合の後、「ここ数年間一緒に練習した選手たちが出場できないのは悔しいが、私たちがコントロールできない状況だ。韓国や北朝鮮選手の全員に、最善を尽くせばあなたのポジションは得られると話した」と紹介した。韓国であれ北朝鮮であれ関係なく、内部競争を通じて抜擢するという厳しい言葉だ。

 国際オリンピック委員会(IOC)は先月、アイスホッケー単一チーム構成を含めて南北が合意した「五輪朝鮮半島宣言」を発表して、マレー総監督に選手選抜の全権を与えた。マレー総監督は勝負のために、よそ見せず自分に与えられた権限を行使している。

 先月25日、北朝鮮選手たちが初めて韓国に来た時、マレー総監督は北朝鮮選手のロッカーを韓国選手たちの間に設置するようにした。オリエンテーションを通じて方向性を共有し、韓国選手2人が北朝鮮選手1人を相手に戦術ノートを説明するようにした。北朝鮮選手の誕生日パーティーには直接参加し、お祝いもした。

 マレー監督は「ミーティングの時は用語が異なり、英語で行えば通訳をしてまた北朝鮮選手に説明しなければならず、普段より時間がかかった」と哀歓を話した。だが、南北選手らがコミュニケーションできる環境を意図的に作り、10日で新しいチームを仕上げた。カナダ代表チームと北米アイスホッケーリーグ(NHL)監督を歴任した父のアンディ・マレーの一貫したアドバイスは大きな力だ。

 マレー総監督は5日から江陵(カンヌン)選手村に入村する際に、韓国と北朝鮮の選手たちが同じ宿舎を使うことを望んだ。だが、スケートなど他の北朝鮮選手団がやって来ており、北朝鮮のアイスホッケー選手たちだけを別途、南側選手団に合流させるのは難しい状況だ。マレー監督の希望はかなわなかったが、ワンチームを作ろうとする彼女の志が読みとれる。

 マレー総監督は歴史的な試合を控えている。4日の単一チームの強化試合の際、メディアルームに集まった内・外信記者らは200人を超えた。10日から開始される平昌(ピョンチャン)五輪B組のスイス、スウェーデン、日本との試合には、もっと多くの視線が集まるだろうと思われる。韓国チームを率いた時よりもはるかに大きな負担を感じる。しかし、大人たちの「政治」など周辺は気にせず、ひたすら「チーム」だけを見つめる彼女には恐れるものはなさそうだ。

キム・チャングム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/sports_general/830841.html韓国語原文入力:2018-02-05 22:12
訳M.C

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