「訪中で信頼を回復し、両国国民の友好が増進できるなら、大きなやりがいを感じられるだろう。経済分野のように他の分野でも関係を発展させていけば、共同繁栄にも大きく役立つだろう」
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、初の国賓訪中(13~16日)を控えた今月8日、「中国中央テレビ」(CCTV)とのインタビュー(11日放映)で、両国間の信頼回復と経済分野をはじめ多方面の関係の発展を訪中の目標として掲げた。前政権で始まったTHAAD(高高度防衛ミサイル)を巡る対立によって最悪に至った韓中関係を正常な軌道に乗せる過程で、文大統領は、一部から“冷遇”されたとの声が上がる中でも、かなりの成果を収めたと評価されている。
文大統領は3泊4日の訪中で「易地思之」(相手の立場になって考える)と「観往知来」(過去を振り返ってみると、未来を知ることができる)を強調し、習近平国家主席と中国国民の心を開くのに努力を傾けた。訪中前には習主席の19回党大会の演説文を通読し、南京大虐殺に関して「同病相燐れむの心から犠牲者たちを哀悼する」と述べた。北京の庶民料理レストランを訪れ、中国人民たちに近づこうとする動きも見せた。大統領府関係者は16日、帰国する空軍1号機の中で、記者団に「両国首脳がTHAAD問題によるぎこちなさを今回に完全に克服したと思う」とし、「THAAD問題に対する言及の頻度や強度、主体のレべルなどが低くなったと思う」と話した。彼は「韓国の安保的利益は確実に保護しながら、中国の理解を求めた」と自評した。
これを通じて文大統領は経済分野などに加えられた中国側の「THAAD報復」を撤回し、北朝鮮核への対応でも「平和的解決」原則を再確認する成果を収めた。ユン・ヨンチャン国民疎通秘書官は17日、「韓中経済長官会議など77の局長級以上政府省庁間協議チャンネルの全面再稼動に合意した」と明らかにした。キム・ヒョンチョル大統領経済補佐官は同日、フェイスブックの生放送「11時50分、大統領府です」に出演し、「THAAD問題の解決で韓国の経済成長率が0.2%上がる効果があるだろう」と予想した。両国首脳は北朝鮮の核問題に関しても、朝鮮半島で戦争は絶対容認できない▽対話・交渉を通じた平和的解決など4つの原則に合意した。特に習主席は、南北関係改善が究極的な朝鮮半島問題の解決に資するということに合意し、文大統領の「朝鮮半島の運転者論」に歩調を合わせた。
しかし、中国側が文大統領の空港の出迎えに次官補である孔鉉佑外交部部長助理を送った点や、14日の習主席との国賓晩餐会と16日の陳敏爾重慶市党書記との昼食会を除いて、文大統領と“食事外交”を展開しなかった点は、中国がTHAADによる不快感を意図的に示したものと見られる。文大統領の行事の取材中に行われた中国の警備会社所属ガードマンらによる写真記者暴行事件は、「ありえない」(パク・スヒョン報道官)汚点を残した。世宗研究所のチョン・ジェフン研究委員は「それだけTHAADに対する中国側の不満が残っているという意味」だとしたうえで、「韓中関係の現実を反映した出来事」だと話した。しかし、大統領府側は「今回の行事を準備しながら昼食・夕食会が問題になるとはまったく思わなかった。(空港での出迎えも)、儀典上の非礼には当たらないと思う」と話した。大統領府関係者は「6月末のワシントン韓米首脳会談に続き、今回の韓中首脳会談を通じて外交的にもう一つの大きな山を越えた」と評価した。
亜州大学中国政策研究所のキム・フンギュ所長は「習主席が核心利益と規定したTHAAD問題が解決されていない状態で、(文大統領を)最高レベルで歓待するのは難しかっただろう」としたうえで、「それでも硬直した局面を変える転換点となったことは明らかだ。中国と経済協力を新たに再設定するという重要な実利を得た」と話した。