文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪中最終日の16日、重慶の大韓民国臨時政府庁舎を訪問した。韓国大統領が重慶臨時政府庁舎を訪ねたのは今回が初めてだ。文大統領一行は重慶の臨時政府庁舎前の階段で写真を撮ったが、1945年に白凡(金九=キムグ)氏を始めとする臨時政府の幹部が帰国を控えて取った写真と比べられ、静かな感動を呼んだ。72年前に白凡が立ったその場に韓国の大統領が再び立ったことは、非常に象徴的な事だ。独立運動と臨時政府の歴史的意義を百の言葉よりもいっそう高めたというに値する。
文大統領は今回の訪中で、中国各地に散った過去の独立運動の史跡を保存することで習近平・中国主席と協力することにした。陳敏爾・重慶市党書記に会い、THAAD・高高度ミサイル防衛問題で中断されていた重慶の光復軍総司令部復元事業を再開するという約束も受けた。文大統領はこの日、独立功労者の子孫に会って「臨時政府は大韓民国のルーツであり法統」だと述べ、「歴史を正しく記憶してこそ国家にも未来がある」語った。文大統領の重慶訪問を契機に、国内はもちろん海外の独立運動の足跡を賛えることが一層本格化することを期待する。
これまで保守陣営の一部は大韓民国政府が樹立された1948年8月15日を建国日として規定し、光復節を「建国節」と変えて呼ぼうと主張してきた。文大統領はこの日「2019年に迎える大韓民国臨時政府の建国100周年の精神をきちんと生かすことが品格のある国になることだ」と話した。「建国節」の主張は「3・1運動で建てられた大韓民国臨時政府の法統を継承する」という憲法の前文を度外視して、独立運動の歴史的正統性を否定する軽薄な認識から始まったものだ。今回の訪中は、これ以上建国節論に踏み込まないように釘を刺したという点でも意義が大きい。
文大統領の訪中を巡ってさまざまな成果や論議が指摘されているが、相当部分は我田引水的な解釈だ。空港に出迎えた人物の格や、文大統領の「一人食事」、中国警護員の記者暴行など儀礼上の問題をもって野党は「丁酉国辱(格下扱い)」など云々しているが、常軌を逸している。多少の儀礼上の冷遇を受けたものの、中国はTHAADの報復措置を事実上撤回して経済協力関係を正常に戻すなど、実利外交的な成果も侮るべきでない。首脳外交については国内の政治問題と分けてもう少し大局的に見る成熟した観点が足りなく思われる。
韓国語原文入力:2017/12/17 18:00