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「北朝鮮のICBM級の中で最進展したもの」…大気圏再突入技術は不透明

登録:2017-11-30 05:29 修正:2017-11-30 16:59
「火星-15」型ミサイルの技術評価  
 
4475キロメートルで歴代最高高度  
950キロメートルを53分間で飛行  
7月に発射した「火星-14」型より向上 
 
弾頭の重さ減らした可能性は? 
「軽い模型弾頭搭載した場合  
射程距離は1万3000キロメートルに及ばない」 
 
北朝鮮「再進入技術を再び確証」 
「火星-14」型発射当時の主張と類似 
実際に成功したかどうかは確認できず
29日、北朝鮮官営の朝鮮中央通信が発表した北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の写真//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が29日未明に発射した弾道ミサイルは、今まで披露した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の中で性能が最も向上されたものと評価される。最大射程距離が1万3000キロメートルと推定され、ワシントンDCなど、米国全域が射程内に入るという分析もある。

 ソ・フン国家情報院長は同日、国会情報委員会に出席し、北朝鮮の「火星-15」型ミサイルについて、「これまで3回に渡り発射された『大陸間弾道ミサイル(ICBM)級』の中で最も進展したものと評価する」と述べたと、共に民主党幹事のキム・ビョンギ議員が伝えた。北朝鮮はすでに火星-14型大陸間弾道ミサイルを保有しており、試験発射も2回行った。今年7月4日に発射した際は高度が2802キロメートル、飛行距離が933キロメートルで、7月28日に行われた2回目の発射当時は、高度が3724.9キロメートル、飛行距離は998キロだった。しかし、今回の火星-15型の飛行記録はこれを上回る高度4475キロメートル、飛行距離950キロメートルだ。ミサイルの飛行時間も従来の火星-14型がそれぞれ37分と47分間飛行したのに比べ、今回は53分を記録した。この数値は、同日発射した火星-15型が7月に発射した「火星-14」型より性能が優秀であることを示している。

 北朝鮮は今回も、火星-15型を高角発射した。米国の物理学者デイビッド・ライト氏は「憂慮する科学者同盟」(UCS)のホームページにあるブログで「数値が正しいなら、正常な角度で発射された場合、1万3000キロ以上飛行できるだろう」とし、「ワシントンDCを含む米国全域を攻撃できる」と推定した。平壌(ピョンヤン)からワシントンDCまでの距離は約1万1千キロメートルだ。

文在寅政権発足後北朝鮮の主なミサイル発射日誌//ハンギョレ新聞社

 しかし、北朝鮮が今回ミサイルの弾頭の重量を減らして射程距離を増やした可能性もある。北朝鮮は、火星-15型を「超大型重量級核弾頭の装着が可能な大陸間弾道ロケット」だと強調した。弾頭の重量を減らして射程距離を増やしていないことを、遠まわしに表明したのだ。これについて、デービッド・ライト氏は「今回の発射で軽い模型弾頭を搭載していたなら、今回の弾道ミサイルは重い核弾頭を1万3000キロまで運ぶことはできないだろう」と話した。

 北朝鮮が同日午後遅くまで火星-15型の写真や映像などを公開しなかったため、火星-15型の具体的諸元や適用されたロケットの技術方式などを推定する手がかりはあまりない。しかし、北朝鮮の弾道ミサイルが液体燃料ロケットを中心に発展してきたことから、火星-15型も液体燃料ミサイルである可能性が高い。また、大陸間弾道ミサイルであるだけに、火星-14型のように2段ロケットであるものと推定される。

 火星-15型ミサイル技術の原型もまだ確認されていない。北朝鮮は「新型大陸間弾道ロケット」だとして、新たに開発したミサイルであることを強調した。しかし、専門家らは最近、北朝鮮が火星-14型の改良型を開発中だというCNNなどの報道と、7月の火星-14型の実験発射以降、新型ミサイルの開発までは時間があまりなかったことから、火星-14型の改良型である可能性が高いと見ている。

 火星-15型が大気圏に成功的に再突入したかどうかも議論を呼んでいる。北朝鮮の「朝鮮中央通信」は同日夜「今回の試験発射は新たに開発した『火星-15』型兵器体系の戦術・技術的諸元と動作の信頼性を確定することを目的にし、最大高角発射体制で進められた」とし、「誘導及び安定化体系における設計の正確性が立証された」と報じた。同通信は特に「すでに検証された操縦・安定化技術、階段の分離及びエンジン技術、再突入(再進入)環境で戦闘部(弾頭部)の信頼性が再び確証された」と明らかにし、大気圏への再突入技術を確保したことを示唆した。しかし、北朝鮮のこのような報道は火星-14型発射当時の主張と類似しており、火星-15型の弾頭が実際大気圏に再び進入する際、6000~7000度以上の高熱や激しい振動、夥しい圧力を克服し、目標地点まできちんと誘導されたかどうかはまだ確認されていない。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/821367.html韓国語原文入力:2017-11-29 22:55
訳H.J

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