新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型の試験発射に成功した北朝鮮が、政府声明を通じて「国家核武力完成」を宣言した。北朝鮮は「核強国」であり「平和愛好国家」という点を強調し、今後の朝米交渉の議題を非核化ではなく核軍縮とするという意も明らかにした。
北朝鮮は29日昼に発表した「共和国政府」声明で、火星-15型について「私たちが目標としたロケット武器体系開発の完結段階に到達した最も威力ある大陸間弾道ロケット」と明らかにした。また、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の話を引用して「今日初めて国家核武力完成の歴史的大業、ロケット強国偉業が実現された」と伝えた。技術的側面に対する評価とは別に、核弾頭と運搬手段を共に備えた完ぺきな核武装国であることを政治的に宣言したわけだ。
金委員長は今年の新年の辞で「大陸間弾道ロケット試験発射準備事業が最終段階に達した」と明らかにしたことがある。実際、北朝鮮は今年7月に二度にかけてICBM級「火星-14」型の試験発射に成功した。引き続き9月3日には6回目の核実験を実施し、「国家核武力完成の完結段階」に達したと主張した。多くの専門家たちが、今年末か来年初めに北朝鮮が「国家核武力完成」を宣言するだろうと予想したのもこのためだ。
北朝鮮が核武力完成の主張を予想より早く出したのは、国内的需要と情勢的な必要が同時に作用したと見られる。北朝鮮は1月25日、党中央委の報道文を通じて年末までに「万里馬先駆者大会」を開くと明らかにし、自力更正と経済成長のための「万里馬運動」を一年中督励してきた。「先駆者大会」を通じた経済的成果を前面に出す前に、核武力完成を宣言したことは、金委員長が強調してきた「核-経済並進路線」が成功したことを対内外に誇示するためと見ることができる。
徐々に効果を発揮している対北朝鮮制裁が、北朝鮮を急がせたという指摘もある。北韓大学院大のク・ガブ教授は「長期間安定的だった北朝鮮の穀物価格が下半期に入り急騰するなど、対北朝鮮制裁の効果が直接的に現れている」として「局面を長期的に引っ張っていくことは否定的影響が大きく、核武装完成宣言時期を操り上げる必要があったのだろう」と指摘した。
北朝鮮は政府声明で「責任ある核強国であり平和愛好国家として、世界の平和と安定を守護するという崇高な目的の実現のために自らのすべての努力を尽くす」と強調した。今後対話局面が作られれば、非核化ではなく核軍縮を交渉の議題にするという意だが、北朝鮮を核保有国として認定しろという話なので、米国が受け入れることは難しい。
交渉局面に入り込まなければ、北朝鮮は「核武力の質・量的強化」を名分に、追加で挑発を続ける可能性が高い。北朝鮮としては、火星-15型の追加発射をはじめ、使用できる「カード」は依然として多い。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「核武装完成宣言以後、北朝鮮が平和攻勢に切り替えても、国際社会が呼応しなければ対話局面に進むことはできないだろう」とし「対話のための努力が出てこない限り、情勢は変わらない」と指摘した。