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政府が米大統領訪韓前に平沢基地の費用分担率を92%に引き上げた理由とは

登録:2017-11-10 02:07 修正:2017-11-10 08:08
「韓米が折半」と主張してきた政府 
トランプ訪韓控え突然「92%負担」 
 
米軍に渡す防衛費分担金と 
基地移転に転用した金額合わせた数値 
 
国民には朝三暮四式の“姑息な”算法 
米国には分担金めぐる交渉力を強化狙う
ドナルド・トランプ米大統領が今月7日、京畿道平沢のハンフリーズ基地に到着し、チョン・ギョンドゥ合同参謀議長と挨拶を交わしている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 韓国のキャンプ・ハンフリーズ基地建設費用の負担率は50%なのか、それとも92%なのか。

 7日、ドナルド・トランプ米大統領の平沢(ピョンテク)ハンフリーズ基地の訪問を控え、大統領府は3日、マスコミへの説明会で敷地全体及び建設費100億ドルのうち韓国が費用の92%を負担したと明らかにした。しかし、これは両国が費用の半分ずつ負担したという政府の従来の主張とは異なるもので、議論を呼んだ。

 なぜ変わったのだろうか。結論を先に言えば、これには“朝三暮四”式の行政都合主義の“小細工”が隠れている。米国は韓国政府が提供する「在韓米軍防衛費分担金」を基地移転費用に転用した。政府はこれまで、米国の寄与分に対し「米国に渡したカネだから米国のもの」という論理を展開してきたが、今回いつの間にか「韓国が負担したもの」に立場を変えたのだ。

 ハンフリーズ基地はそもそも2000年代初め、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に始まった在韓米軍基地移転事業により、拡張建設された米軍基地だ。2003年4月、盧大統領とブッシュ米大統領の首脳会談の合意以来本格化した在韓米軍基地移転事業は、二つの部分に分かれている。「龍山(ヨンサン)基地移転事業」(YRP)はソウル龍山の米軍基地をハンフリーズに移す事業であり、「連合土地管理計画」(LPP)は、米第2師団をハンフリーズに移す事業だ。費用は韓米間で合意した「原因提供者負担」の原則に基づき、龍山基地移転は韓国が、米第2師団の移転は米国が負担することにした。当時、政府は「韓米がおよそ50対50で費用を分担することになる」と説明した。

 しかし、事業が進むにつれ、韓国が実際負担する費用の規模は“敏感な問題”になった。政府は2008年8月、事業管理企業による中間報告書で「米国が7兆5000億ウォン(約7590億円)、韓国が5兆8000億ウォン(約5870億円)を負担するだろう」と明らかにした。しかし、国内市民団体からは「私たちが事業費のほぼ大半を負担するのではないか」という疑惑が持ち上がった。2008年3月、バーウェル・ベル当時在韓米軍司令官も米議会で、米国が全額負担しなければならない米第2師団の移転費用について「韓米が50対50で分担する」と証言した。

京畿道平沢にある米軍ハンフリーズ基地の全景=平沢/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 これは米国が基地移転の費用に転用した在韓米軍防衛費分担金を“誰のカネ”と見なすかの問題だ。米国は毎年韓国が渡す防衛費分担金を米第2師団移転事業に転用した。米軍基地移転事業に転用するために、使用せず米国が積み立てた金額が2008年10月当時1兆1193億ウォン(約1130億円)に達することが明らかになり、論議を呼んだ。しかし、政府は「防衛費分担金は、米国の口座に入金される瞬間、米国のカネとなる」と主張し、転用された分担金を米国の寄与分として計算した。

 政府は2015年までと米国の「半分負担論」を維持してきたが、今回「費用負担92%」と立場を覆した根拠が何かについては明らかにしなかった。政府関係者は「92%は米軍が転用した韓国防衛費分担金を含めた数値だと聞いている。国益のため政府の立場を変更したものと理解してもらいたい」と話した。トランプ米大統領が韓国に防衛費分担金の増額を強く圧迫しており、7日の韓米首脳会談で「合理的な水準の防衛費分担」原則に合意して、2019年以降の分担金交渉を控えた政府としては、韓国の貢献度を高めて交渉力を強化するしかないということだ。

 一方、ノ・ギュドク外交部報道官は9日の記者会見で「防衛費分担交渉を担当する首席代表の人選手続きが終了段階にある」と述べた。政府はチャン・ウォンサム駐スリランカ大使を内定したという。

パク・ビョンス先任記者、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/818377.html 韓国語原文入力:2017-11-09 21:48
訳H.J(1952字)

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