登録 : 2017.07.13 04:18 修正 : 2017.07.16 05:54

[米軍基地移転、失われた10年] 
防衛費分担金の転用めぐる議論 
米軍司令官「LPPは100%米国の負担だが、8%だけ」 
韓米政府が合意したにもかかわらず国会批准の際には報告されず 
米国「基地移転に使用し分担金が不足…増額は避けられない」  
市民社会「分担金協定の違反…国家財政法を無視」

 「われわれは同盟国を防御するため、在韓米軍費用の公正な分担に向けて(韓国と)協力している。防衛費分担は非常に重要で、特に(米国の)現政権ではさらに重視されている」

 ドナルド・トランプ米大統領が先月30日(現地時間)、ホワイトハウスで文在寅(ムン・ジェイン)大統領と首脳会談を行った後、共同記者会見でこれからも韓国に対する防衛費増額の圧迫を続けていくことを示唆した。防衛費分担金が改めて、韓米同盟の敏感な懸案に浮上している。

 ここに、在韓米軍の平沢(ピョンテク)移転が最初の計画より10年近く遅れ、移転費用が大幅に増えており、米国が負担することにした移転費用の「防衛費分担金の転用」をめぐる議論も広がりを見せている。米国の最近の文書でも原則と“矛盾した現実”が明らかになるほどだ。

先月30日(現地時間)、米国のホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領(右)が文在寅大統領と首脳会談後に行った共同マスコミ発表で、韓国の防衛費増額を圧迫する意向を示している=ワシントン/キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 今年4月末、ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官は、米国上院国防委員会に提出した書面証言で、在韓米軍2師団隷下部隊の韓国内再配置費用を「米国が全額負担する」としながらも、実際、米国が負担する費用はほとんどないことを明らかにした。「龍山(ヨンサン)米軍基地移転(YRP)の新しい施設費用は韓国が100%負担し、連合土地管理計画(LPP・在韓米軍2師団の移転)による費用は米国が100%負担する。両プロジェクトの総費用は108億ドル(約12兆4000億ウォン)で、このうちただ8%だけを米国が負担する。LPPは米国の責任であるが、ほとんどのLPP関連工事には(韓国が提供した)防衛費分担金を使用する」

 米国議会調査局(CRS)が昨年5月末出版した「米国と韓国の関係」報告書はブルックス司令官の書面証言を引用し、在韓米軍基地移転の遅れと費用増加の責任を韓国側に転嫁するような内容にも言及している。

 「増額圧力」と「転用をめぐる論議の的」となった防衛費分担金は、韓米両国政府が1991年から2~5年周期で更新してきた「防衛費分担金特別協定(SMA)」に基づいて韓国政府が毎年在韓米軍に提供する現金と現物支援を意味する。支援項目は、在韓米軍が雇用する韓国人の人件費(現金)、軍事建設費(現金+現物)、軍需費用(現物)など3つの分野だ。これは「施設と区域」を除いた米軍のすべての費用を米国側が負担するようにした「在韓米軍駐留軍地位協定(SOFA)」第5条規定の「例外的処置」だ。今年の分担金は9507億ウォン(約940億円)で第9回協定(2014~2018年)の適用を受ける。

ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官=ウィキペディア

 在韓米軍は自国が負担することにしたLPP基地移転費用に韓国の分担金を使用するのが問題にならないという態度だ。基地移転費用が分担金の用途の中の「軍事建設費」部門に当たるということだ。韓国政府も、米軍の分担金専用の事実が公開された翌年の2008年以降、両国の合意があったとし、米国側の主張を後押しするような説明を繰り返してきた。2008年10月、イ・サンヒ国防長官は「(防衛費分担金のLPP使用は)2000年からすでに両国政府が了解していた問題であり、そのまま行われるべきということに共感する」と述べた。2009年2月、外交通商部も「国会の意見に従い、政府は米国側とこの問題を真剣に検討しており、その結果。『分担金のLPP使用は避けられない』という従来の結論を再確認した」と内容の説明資料を出した。このような韓国側の立場は現在も維持されている。国防部公報担当官は最近、ハンギョレとの電話インタビューで、「この問題に対する韓国政府の立場は以前と変わっていない」と明らかにした。

 しかし、「2000年に韓米間の了解」は国防部の公式文書として作成されたわけではない。2002年、国会のLPP協定批准同意案の審議過程でも報告すらされないまま、“慣行”とされてきた。法的拘束力に疑問があるということだ。「民主社会のための弁護士会」の米軍問題研究委員長であるハ・ジュヒ弁護士は「LPP協定は基地移転事業だけのために分担金協定とは別に結んだ条約なので、LPP費用として分担金を使うのは、支援金の使途を定めた分担金特別協定に反する」と指摘した。

防衛費分担金の推移(第1~9回協定、資料:国防部)//ハンギョレ新聞社
 

 防衛費分担金の転用に対する「事前合意」をめぐる議論は10年前にさかのぼる。2007年1月18日、バーウェル・ベル当時在韓米軍司令官はソウル外信記者クラブで電撃発言をした。韓国の防衛費分担金を京畿道に駐留中の米2師団の平澤(ピョンテク)移転費用に使うというものだった。韓国政府は直ちに米国側に強く抗議した。ところが、政府が抗議したのは、米軍の分担金専用の方針ではなく、そのような事実を公表した行為そのものだった。

 これは翌日、駐韓米国大使館が本国に送った「韓国外交部、ベル将軍の公開発言に抗議」という題名の秘密公電にそのまま含められた。「外交通商部のチョ・ビョンジェ北米局長はベル司令官の公の場での発言を2つの側面から強く抗議した…第二に、もっと深刻なのは、防衛費分担金特別協定で韓国政府が支払う金の一部が米2師団の移転費用に転用されるという『爆発力のある』言及だ。このような合意は、韓国の国会や国民にまだ説明されていない事案だ。ベル司令官の発言は、国会の防衛費分担金協定の批准を困難にするかもしれない」

 これに先立ち、2002年、米国は京畿道に散らばっていた米2師団基地を統廃合して再配備しようとする計画に基づいて、韓国と連合土地管理計画協定を結んだ。2004年には韓国側の要求にソウル龍山米軍基地計画協定が追加された。当時、韓国政府は国会に米軍基地再配置計画を説明し、龍山基地の移転費用は韓国側が、米2師団の移転費用は米国側が負担するという「原因提供者負担原則」を明らかにした。実際、LPP協定の付録と附属書は移転による閉鎖予定基地28カ所のうち、米国は15カ所の基地代替施設資金を支援すると規定している。

2007年1月、バーウェル・ベル当時在韓米軍司令官が龍山米軍基地で記者会見を開き、米軍基地再配置事業の米国側の費用として韓国の防衛費分担金を使うという方針を明らかにしている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、この原則を破って防衛費分担金をLPPに転用している米国は、さらにはこれを根拠に韓国に対する分担金の増額を圧迫する手段としている。2013年4月、米上院軍事委員会が発表した「米国の海外駐留軍支援費用と同盟国の分担」報告書は、「韓国の分担金が米国の費用上昇に追いついていない」と主張した。同報告書は「韓国が提供する駐留国支援代金でLPP費用の相当部分を賄う計画だが、そのため、米国が他の支出に使う韓国のファンディング(分担金)が減っている」とし、「米国の費用(増加)に歩調を合わせるためには、韓国の分担金の増額は避けられない」という結論を下している。

 米国のこのような主張の背景には、その翌年から適用された第9回防衛費分担協定(2014~2018年)交渉を控え、韓国の分担率を引き揚げようとする思惑がある。第8回防衛費分担協定(2009~2013年)の際、両国は毎年の引き上げ率を「前年度非物価上昇率に対し4%の上限(を設ける)」と規定した。しかし、第9回協定初年の2014年の分担金は9200億ウォン(約909億円)で、前年に比べて5.8%も増えた。

 市民社会と軍事専門家は、米国の要求が無理であるうえ、分担金のLPPへの専用に対する韓米「合意」というのも無効であると主張している。予備役中佐出身のキム・ドンヨブ慶南大学教授は「防衛費分担金は、在韓米軍の駐留経費の一部を韓国が支援することであり、米軍の再配置費用とは全く異なる」と言い切った。彼は「第10回防衛費分担交渉が始まる来年も、初年度の交渉が非常に重要だ」とし、「米軍の分担金使用の透明性と責任性を強化しなければならない」と強調した。

 「開かれた軍隊のための市民連帯」の活動家、パク・ヨンソク氏は「米国が防衛費分担金の未執行額で利子収益をあげている中で、分担金をLPP費用に転用するのは、国の予算・決算の透明性と健全性を規定した韓国の国家財政法を無視する行為」だと指摘した。

 在韓米軍は龍山基地の平沢移転を今年末までに、残りの部隊の移転は来年までに完了する計画だ。韓米両国で新政府が発足した今年、防衛費分担や在韓米軍基地移転費用をめぐるもう一度の主導権争いはすでに始まった。

チョ・イルジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2017-07-12 15:31
http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/802417.html 訳H.J(3824字)

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