李明博(イ・ミョンバク)政権時代、国家情報院(当時、ウォン・セフン院長)が盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の死去に対する政府の批判世論を“遮断”するため、オン・オフラインを通じて様々な反論活動を企画・実行したことが明らかになった。国情院はまた、当時、ソン・ヨンギル仁川市長とパク・チウォン議員、クァク・ノヒョン元ソウル市教育監、チョ・グクソウル大学教授、イ・サンドン中央大学教授など、政府に批判的な政治家や教授らに対しても同様に誹謗活動を展開したことが明らかになった。李明博政権時代の国情院が文化・芸術界の批判的な人物の追放工作をした事実が明らかになったのに続き、社会各界の有識者に対する誹謗・中傷の心理戦を繰り広げたことが確認されたことで、ウォン・セフン元院長を頂点にした「コメント事件」の捜査が、李明博元大統領の方へとさらに一歩近づいたものと見られている。
国情院改革発展委員会は25日、傘下機関の積弊清算TF(タスクフォース)からこのような内容が含まれた「政治家・教授など李明博政権批判勢力の制圧活動」を調査した結果報告を受けて、ウォン・セフン元院長らを国情院法上の政治関与禁止違反と業務上横領・背任の疑いで検察に捜査依頼することを勧告したと発表した。
国情院改革発展委の資料によると、ウォン元院長は2009年、盧武鉉元大統領の死去後、李明博政権に対する批判世論が激しくなったことを受け、これに対する心理戦の活動を展開したが、ソウル市長補欠選挙と総選挙・大統領選挙がある2011~2012年には特定の政治家などにも攻撃を拡大したことがわかった。国情院が心理戦の対象にした政治家は、ソン・ヨンギル当時仁川市長(現共に民主党議員)とパク・チウォン議員、クァク・ノヒョン元ソウル市教育監、ソン・ハッキュ、チョン・ドンヨン、チョン・ジョンベ元代表など野党所属の元・現職議員らはもちろん、当時与党所属だったホン・ジュンピョ、チョン・ドゥオン、アン・サンス、ウォン・ヒリョン、クォン・ヨンセ議員らまで含まれていた。
特に、国情院は盧元大統領の死去1カ月後の2009年6月、「盧自殺に関連する左派制圧論理の開発・活用計画」、「政界の盧自殺悪用を批判するサイバー心理戦の継続的な展開」など2件の報告書を作成した。ここには「現政権の責任論主張⇒結局本人の選択であり、側近と家族の責任」、「過去の歩みを美化⇒大統領在任中に個人的な不正を犯した人に過ぎない」などの「反ばく論理」が書かれている。国情院はこのような論理をネット討論サイト、ダウムの「アゴラ」に300件以上の討論内容と200件以上のコメントを通じて発信した。また、2011年5月の盧元大統領死去2周忌に合わせて、父母連合と協力し、「盧武鉉精神を云々し、国論分裂を助長する北朝鮮追従勢力を糾弾する」という街頭デモを開くと共に、同じ趣旨の内容をインターネットの討論やツイッターにも掲載した。
国情院は、このような心理戦を展開する過程で、保守インターネットメディアの「メディアウォッチ」に定期購読や広告支援を行うと共に、「報道協力」として左派人物に対する批判記事を書かせたことが分かった。さらに、北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発などの主要懸案がある度に、自由大韓守護国民運動本部や自由進歩連合、韓国危機管理所など保守団体の名前を借りて、主要日刊紙に政府に批判的な政治家に対する批判が書かれた政治広告を掲載するようにしたこともあった。
ウォン元院長はこのような活動を「全部署長会議」と「毎日モーニング・ブリーフィング」を通じて随時指示し、担当部署は「外郭組織」などを活用して心理戦を展開したと、国情院改革発展委は明らかにした。ウォン元院長は特に、内部会議で「もうすぐ総選挙もあり、大統領選挙もある。北朝鮮を追従する左派勢力は北朝鮮と連携し、いかなる形であれ再び政権を取ろうとしており」、「我々の場合、総選挙まであと数日で、年末の大統領選挙も予定されており…部署が関連懸案について事実を正確に認知し、誤った主張を反論すべき」などの発言をして、国情院組職を総選挙と大統領選挙に動員した点が確認された。