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「しのぎを削る朝鮮半島…『平和』へと導く大胆な解決策を」

登録:2017-10-28 05:51 修正:2018-06-04 06:33
2017ハンギョレ-釜山国際シンポジウム「トランプ以降」

米ロ関係 
「深刻に毀損…さらに悪化するだろう 
安保・経済・民間交流の3つのかごは 
空っぽか、毒物で満ちている」 
 
米中関係 
「米、北朝鮮核問題の解決策を中国に任せ 
韓日通じた『中国封鎖』を外注」 
 
中ロ関係 
「中『一帯一路』ロ『新東方政策』 
競争超えてシナジー効果あげはじめ」 
 
文在寅政府はいかに 
「韓米同盟の維持は重要だが、 
中国の『双中断』・ロシアの『対話論』は示唆的」

2017ハンギョレ-釜山国際シンポジウム二日目の27日、釜山海雲台のAPECヌリマルで、トランプ以降の米中ロ関係をテーマに開かれた第2セッションでジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長(右から2番目)が提案している=釜山/ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領は「米国を再び偉大に」というスローガンを掲げて当選した。米国優先主義と新孤立主義、多国間体制に対する不信に基づいた両者関係を中心に、トランプ行政府の対外政策の方向が決まったのは当然だった。

 4月、米中首脳会談を皮切りに、一対一で首脳会談(5月)▽主要20カ国(G20)首脳会談(7月)▽BRICsの首脳会談・東方経済フォーラム(9月)などを通じて現れた新たな米中ロ3者構図は、競争と協力、牽制と均衡という地政学的なせり合いにつながっている。トランプ行政府発足後、入れ替わったユーラシアの力学構図は、北朝鮮核問題を解決し新北方協力政策を推進しようとする文在寅(ムン・ジェイン)政府の構想にどのような影響を及ぼすのか。ムン・フンホ漢陽大学国際学大学院教授の司会で27日午前、釜山ヌリマルAPECハウスで開かれた第13回ハンギョレ-釜山国際シンポジウム二日目の会議では、これと関連した国内外の専門家たちの深い議論が続いた。

 カーネギー・モスクワセンターのアレクサンダー・カブエフ先任研究員は、トランプ行政府発足後の米ロ関係について「すでに深刻に毀損された状態であり、今後ますます悪化するだろう」と言い切った。米ロ関係を支えている「3つのかご」として、安保▽経済▽民間交流を挙げたカブエフ研究員は「今このかごは全て空いているか毒物で満ちている。何かかごに残っていても、他の毒物によってたやすく汚染されている」と表現した。

 安全保障の面で、米ロはウクライナ・クリミア半島とシリア内戦という2つの地域紛争に巻き込まれている。ロシアのクリミア半島編入(2014年3月)とドンバス(ウクライナ最大の炭鉱地帯であるドネツクとルハンスク)地域紛争について米国は、ロシアを「秩序の破壊者」と見ている。一方、ロシアは米国を2014年に新ロシア政権を崩壊させた大規模なデモとウクライナ東部地域の親ロシア派武装勢力の鎮圧の「背後の操縦勢力」と見ている。カブエフ研究員は「米ロ間の貿易規模は200億ドル規模の微々たる水準」とし、「ロシアでは反米感情が体制のイデオロギーの主要な特質になりつつあり、米国内では反ロシア的ヒステリーの水準が第2次世界大戦以来の最高水準」と指摘した。米ロ関係に当分変化はないという話だ。

 米中関係の変化に対する発題に出たジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長は「トランプ行政府に入り、米国と中国の対外政策基調が入れ替わった形」と指摘した。多国間主義に基づいて全世界的レベルで「バランサー(均衡者)」の役割を果してきた米国は、トランプ行政府に入って自国の利益の極大化のために弱小国と“一対一”で対抗する両者主義に転じた。一方、膨大な外貨準備高で武装した中国は、国際舞台を中心に多国間主義を推進している。

 このような変化は、北東アジア政策面で際立っている。トランプ行政府は、北朝鮮核問題の解決策は中国に、中国封鎖は韓国と日本に“外注”している格好だ。しかし、現実的に明らかになった政策は、前政府とあまり違いがなさそうだ。これについてフェッファー所長は「トランプ行政府の政策は、バラク・オバマ政府の政策に『侮辱』だけを追加した形」と話した。彼はさらに、「トランプ行政府は対外政策で『ウィン・ウィン』(みんなに利益)を語っているが、米中、米ロ、韓米、朝米関係を見ると、いずれも『ルース・ルーズ』(みんなに不利益)な状況」だとし、「トランプ行政府発足後、米中間の対立が続く中で、安保は米国、経済は中国に依存している韓国としては安保が経済を脅かす状況に追い込まれている」と指摘した。

 こうした中で、中ロ関係は戦略的協力関係に発展している。高天明ハルビン工程大学教授は「中ロは高い相互政治的信頼と強固な関係を基に、地域および国際問題で両国の影響力をさらに強化している」と話した。当初、競争関係と思われていた中国の一帯一路(陸・海上シルクロード)政策とロシアの新東方政策が、交通・物流・エネルギー分野で相互に関心事を調整しながらシナジー効果をあげているのもこのためだ。

討論者として立ったキム・ジェグァン全南大学教授は「中ロ間の全面的な戦略的協力同伴者関係は、日米同盟に対抗できる対抗馬でもあり、米中間の葛藤だけでなく日中間の葛藤を抑制して処理する上でも最も重要な戦略的基盤でありテコである」と指摘した。彼はさらに、「北朝鮮の挑発局面で中国が提案した双中断(韓米合同軍事演習と北朝鮮の核・ミサイル試験の同時停止)と双軌並行(北朝鮮核廃棄と平和協定の同時締結)戦略は、私たちに示唆するところが大きい」とし、「(韓国政府の対外政策が)親中か親米かの二者択一に傾倒していることが残念だ」と付け加えた。

 キム・ジュニョン韓東大学教授は「北朝鮮の核・ミサイル挑発で米国が必要な状況で、トランプ行政府は危機と脅威を助長し、韓国に最大限の譲歩を要求しており、韓米同盟の維持費用ばかりが膨らんでいる」と話した。彼は「韓国の戦略的利益面では米国との同盟が重要ではあるが、現在の朝鮮半島の状況では中国の双中断とロシアの対話論がさらに適している」とし、「結局『平和イニシアティブ』で米国を説得できるだけの(外交的な)大胆さがなければならない」と強調した。

釜山/チョン・インファン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/816408.html韓国語原文入力:2017-10-27 22:09
訳M.C(2706字)

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