朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弁護団が、追加拘束令状の発給に抗議して総辞任するという強硬姿勢をめぐり、今後の裁判に及ぼす影響に関心が集まっている。朴前大統領が欠席等を通して“裁判ボイコット”に出ることがありうるが、日程支障は予想されるものの裁判それ自体には大きな影響はないだろうと見られる。
裁判部は次回公判が予定された19日までに既存の弁護団が辞任届を撤回するか、朴前大統領が新しい弁護人を選任しなければ、国選弁護人の選定手続きに入ることになる。拘束事件などでは被告人の弁護人がいなければ、裁判所が職権で国選弁護人を選定することになっている。事案の重大さなどを考慮して国選弁護人が数人選ばれることもありうる。
新しい弁護人が選任されても、当分裁判の支障は避けられないと見られる。弁護人側から10万ページを超える捜査記録と裁判の進行状況を把握できていないという理由で、証人尋問などの手続きを先送りして欲しいと言うことができるためだ。17日のチョ・ウォンドン元大統領府経済首席秘書官の証人尋問が延期され、19日のアン・ジョンボム元大統領府政策調整首席秘書官の証人尋問も進行可否が不透明だ。ただし、ある判事は「まだ事件の審理が多く残っているので、裁判部が最小限の弁論手続きを保障して職権で裁判を進めることができる」として「裁判部が手続きの遅延をひたすら受け入れる必要はないと見られる」と話した。
朴前大統領が国選弁護人を拒否する方式で裁判のボイコットを続ける可能性もある。だが、国選弁護人が不誠実だったり、被告人の利益に反する方向で弁論を継続する場合にのみ被告人が国選弁護人の変更を要請できるが、正常な弁論をしているのに単純に被告人の気に入らないという理由で変えることはないというのが法曹界の大半の意見だ。ある判事は「国選弁護人は、被告人だけのための制度ではなく、円滑な裁判進行とも関連しているため合理的な理由のない変更要請は受け入れられない」と話した。
朴前大統領が裁判欠席カードを繰り返し持ち出すこともありうる。これに先立って朴前大統領は7月に足の指を負傷したという理由で裁判に三回欠席したが、裁判部が強制出廷措置の可能性を示すしたところ出席したことがある。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長とイ・ヨンソン元大統領府警護官の裁判時には、裁判所の拘留状発給にもかかわらず証人出席を拒否した。だが、刑事訴訟法は拘束被告人が正当な理由なく出廷を拒否すれば、欠席状態でも裁判を進めることができると規定している。朴前大統領が最後まで出席を拒否しても、裁判は可能であり、基本的に“ボイコット”は不可能なわけだ。
朴前大統領が保釈を請求し不拘束裁判を訴える方法もあるが、証拠隠滅憂慮などで二回目の拘束令状が発給された以上、裁判部がこれを受け入れる可能性は低い。