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[社説]国民と法治を冒とくした朴槿恵の政治報復論

登録:2017-10-16 21:15 修正:2017-10-17 07:49
16日、拘束延長後初の公判を終えてソウル中央地裁を出る朴槿恵前大統領//ハンギョレ新聞社

裁判が始まって6カ月目に出た朴槿恵(パク・クネ)前大統領の初めての発言が、裁判の正当性自体を認めないという内容だった。謝罪どころか、つきなみの反省や懺悔の一言もない。ただ裁判の公正性にけちをつけて、自分を生贄の羊として美化するのにやっきな様子だ。法廷闘争が不利になるので「政治闘争」として支持層を結集し、裁判所にプレッシャーをかけようとする意図があるのではと考えてしまう。大統領を務めた人間が法治主義を否定して棄損するのを見ること自体がみじめで悲しい有り様である。

彼女の弁護人全員が辞任すると明らかにしたのは、事実上裁判をボイコットするという意味だ。結局、国選弁護人体制で行うしかないが、裁判への支障は避けられない。裁判手続きに欠点をつけようとする無責任な行動のみならず、事実上の司法妨害に近い。市井の人ならばいざ知らず、前大統領がそこまでしてもいいのかという思いを消すことはできない。

法治の名を借りた政治報復などと言うのは、犯罪の被告人である自らを政治被害者に見せようとする下心からだけのことだ。裁判中に数えきれない程多くの証言と証拠が提示されたが、今になって「生贄の羊のふり」をするのは司法と国民に対する冒とくであり、居直りにほかならない。政治報復とするならば、自分が属していたセヌリ党の多くの議員が弾劾訴追に賛成したことをどのように説明すべきだろうか。朴槿恵‐チェ・スンシル事件を捜査して裁判に持ち込んだ検察と特検も、朴氏自身が大統領時に任命した面々である。あえて政治報復と主張しようとするなら、裁判に誠実に臨んで証拠を示して法に従って堂々と明らかにすれば良いことだ。

「私を信じて支持して下さる方々」を持ち出して論じたことは、政治的意図が不純なことこの上ない。同情論を誘発して支持層を刺激し、場外闘争を誘導しようとするものだ。これまで何も言わずに、拘束期間が延長されてから「歴史的な首かせ責任」を言い出したのも卑怯だ。恥を知らぬまま限りなく墜落していく前大統領の非常に貧しい姿に悲しさを拭いようがない。

このような行為は法廷で決して有利に働かないということを彼女が分からないはずがない。それなのに法的権利をあきらめながらも「政治扇動」に出てきたのは、裁判以外の要素を通じて勝負をかけてみようという形に映る。史上初の国政私物化に一抹の責任感を感じているならば、今からでも法理によって罪を決める手続きに協力するのが国民に対する最低限の道理だろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2017/10/16 18:10 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/814718.html 原文: 訳T.W

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