今月16日に1審拘束期間が終わる朴槿恵(パク・クネ)前大統領の追加拘束令状が発給された。朴前大統領の拘束期間は最長で2018年4月16日の深夜12時まで延長された。
ソウル中央地裁刑事22部(裁判長キム・セユン)は13日、「証拠隠滅の心配があり、拘束の事由、必要性、相当性が認められる」として、朴前大統領の拘束令状を追加発行した。検察は9月、朴前大統領の1審拘束期間満了(10月16日深夜12時)を控え「逮捕状が発給されていない一部のわいろ授受事件に対して拘束令状を発行してほしい」と裁判所に要請した。朴前大統領の18種類の容疑のうち、辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)ロッテグループ会長から70億ウォン(約7億円)を受け取り、チェ・テウォンSK会長に89億ウォン(約8億9千万円)を要求した容疑は拘束令状に含まれなかった。朴前大統領は3月31日、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長から433億ウォン(約43億円)のわいろを受け取った容疑(特定犯罪加重処罰等に関する法律のわいろ)などで拘束され、4月17日に裁判に付された。刑事訴訟法は1審の拘束期間を起訴された日から最長6カ月と規定している。
5月23日に裁判を開始し、裁判所は一週間に4回の公判を開き、70人を超える証人を尋問したが、1審拘束期間内に宣告を下すには時間が不足した。裁判所は10日、「迅速な審理のために努力したが、満期が迫る現在までに終えることはできなかった」として「最大の理由は、審理しなければならない公訴事実の規模が類例なくぼう大だったことにある。起訴状の分量が150ページ、捜査記録も10万ページを軽く超えて、原則通りにすれば今後証人尋問しなければならない陳述人だけで300人近く残っている」と明らかにしたことがある。
裁判所は、朴前大統領の拘束令状追加発給の理由として「証拠隠滅の可能性」を挙げた。検察も拘束令状追加発給を審理した10日の裁判で「朴槿恵被告人は前職大統領として重要証人を直接指揮したことがあり、個別企業の隠密な情報を保有しているため、釈放される場合、残った証人に対し影響力を行使して証拠の操作と翻意を試みる可能性が高い」として「被告人の欠席と既存陳述の翻意などが広がれば、裁判の正常な進行が難しい」と主張した。一方、朴前大統領の弁護人であるユ・ヨンハ弁護士は「被告人は飢えたライオンが群れるコロシアムで血を流し群衆に囲まれているといっても過言ではない。広場の激情と怒りが人民による裁判を招くことは歴史が証明している。刑事法廷こそ人権の最後の砦であり、広場の狂気を防ぐ最後の場所だ」として、拘束令状の請求を棄却してほしいと訴えたが受け入れられなかった。ある地裁の部長判事は「審理が多く残った状態で、残った証人を呼び懐柔し圧力を加える可能性が十分にあるという点を裁判所が受け入れた。前職大統領としての影響力など、検察の主張が相当部分受け入れられたと見られる」と話した。
大統領の弾劾を生んだ国政壟断事件の重要性と裁判欠席の憂慮も、朴前大統領の拘束令状追加発給の背景にあると解説される。ある地裁の部長判事は「釈放された後に裁判に出てこなければ強制的に連れてくることは容易でなく、事実上逃走の憂慮を最も多く考慮したのだろう」と分析した。また別の地裁の部長判事も「証拠隠滅の憂慮だけでなく、逃走の憂慮、事案の重大さも核心的な拘束令状発給の考慮理由だ」として「6カ月後には追加起訴をしない限り逮捕状を発行することができず、弁護人は裁判遅延戦略を通じて釈放を狙うこともありうる」と見通した。検察も「本件は国政壟断事態の最頂点にある事件で、実体を正確に糾明しそれに相応する罪を問うためには新たに拘束令状が発給されなければならない」として「被告人は検察と特検調査、憲法裁判所の弾劾審判にも出廷しなかったし、健康などを理由に裁判に欠席したり拘留状を受けても出廷を拒否し、不拘束状態で裁判に出席する可能性は高くない」として、拘束令状を発行してほしいと主張している。朴前大統領の追加拘束令状は最初の拘束期間が終わるとすぐに執行される。延長された1審最長拘束期限である2018年4月16日は、奇しくもセウォル号惨事が起きて4年目になる日でもある。
朴前大統領の拘束期間が延び、宣告が延期された“共犯”らの1審判断も、翌月から出てくる展望だ。一度拘束令状が追加発給されたチョン・ホソン前大統領府付属秘書官は11月20日、チャ・ウンテク元創造経済推進団長らは11月26日に1審拘束期間が終わる。裁判所は当初朴前大統領と共にチャ元団長らに対して宣告する予定だったが、先月28日「(朴前大統領と)共に宣告することは難しいと思うので、審理を再開し速く進める」と明らかにしたことがある。