今年5月9日に行われた大統領選挙直前の4月末、慶尚北道星州(ソンジュ)に高高度防衛ミサイル(THAAD)発射台2基が奇襲配備されたのは、米国の圧迫ではなく、韓国政府の要請によるものであることが確認された。朴槿恵(パク・クネ)大統領が罷免された状態で、このような「THAADの既成事実化」を主導したのは、当時国家安全保障会議(NSC)常任委員長だったキム・グァンジン大統領府安保室長という事実も明らかになった。
国会国防委員会所属のイ・チョルヒ議員(共に民主党)は10日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任直後、国防部が作成した「在韓米軍のTHAAD配備関連の参考資料」をハンギョレに公開した。同文書で、国防部は朴槿恵政権がTHAAD配備を急いだ理由について、「2016.7.8. THAAD配備決定後、北朝鮮による核・ミサイル挑発が深化」、「前例のない国内の政治状況やトランプ政権の対北朝鮮政策への懸念などにより、安保に対する国民の憂慮が深刻化」したとしたうえで、「NSCを中心にTHAAD配備の加速化を推進する必要性が台頭」しており、「米国側も韓国側の立場に共感し、配備の加速化案(を)検討」したと記した。当初、THAADの臨時配備の時期は2017年9月に予定されていたが、大統領府NSCが米国に繰り上げを要請したということだ。特に同文書には、朴槿恵大統領の弾劾訴追案が国会で可決された後の昨年12月末、キム・グァンジン安保室長が「予定通り2017年9月にTHAAD配備を完了しよう」という国防部の意見を黙殺し、早期配備の方針を貫いたという記録も残っているという。
イ・チョルヒ議員は「THAAD配備のような重大な外交・安保事案を、大統領もいない状況で、一介の参謀が任意で決定したのは大きな問題」だとし、「キム・グァンジン安保室長の行為による対償を現在まで払っているだけに、徹底した真相究明が必要だ」と話した。