「朝鮮籍」の在日同胞の自由な祖国訪問を保障するという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公言にもかかわらず、一部の朝鮮籍は今回の秋夕(中秋節)期間中に故国の地を踏むことはできないものとみられる。「朝鮮籍」は解放後、韓国国籍を取得したり、日本に帰化していない在日同胞を意味する。
共に民主党のシム・ジェグォン議員が29日に公開した外交部資料によると、文大統領領の光復節記念演説以降、韓国訪問を申請した朝鮮籍の在日同胞は9月18日現在28人で、このうち11人が旅行証明書の発給を受けられず、結果を待っている。5人は1カ月間にわたり駐日公館の「審査」を受けている。朝鮮籍の在日同胞が韓国を訪れるためには、南北交流協力法に則って韓国政府から旅行証明書を発給してもらわなければならず、保守政権は発給を拒否する方法で彼らの訪問を阻止してきた。このため、文大統領は昨年8月、光復節記念演説で「在日同胞の場合、国籍を問わず人道主義的次元から故郷訪問を正常化する」と明らかにした。
シン議員側は「(光復節記念演説以降)秋夕を前に、これまで制限されていた朝鮮籍同胞らの訪問が実現されるものと期待していたが、関係当局の遅い対応により故国訪問が遅れている」と指摘した。外交部関係者は「8・15以降、発給を拒否されたケースはない」とし、「共に民主党のカン・チャンイル議員が提出した旅券法改正案(無国籍在外同胞に対する旅行証明書発給の義務化)が可決されれば、関連の処理手続きも変わるだろう」と話した。実際、申請者のうち17人に対しては旅行証明書の発給がすでに完了した状態だ。
一方、2015~2016年、「南北相互の交流・協力および大韓民国の利益や公共の安全を害する行動をする恐れがある」との理由で韓国訪問を拒否された朝鮮籍の44人の中には、3歳の幼児や98歳の高齢者まで含まれていたことが明らかになった。