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[インタビュー]「日本語で朝鮮を書くことができるということを証明したかった」

登録:2017-09-21 06:28 修正:2017-09-21 06:50
第1回李浩哲統一路文学賞受賞者の金石範氏 
 
「朝鮮を卑下した川端康成に怒り」 
18日の懇談会で「朝鮮籍」に関する考えなど述べ
大河小説『火山島』で「第1回李浩哲統一路文学賞」を受賞した在日同胞作家の金石範氏=写真チェ・ジェボン記者//ハンギョレ新聞社

 「日本のノーベル文学賞受賞作家の川端康成がどこかで『朝鮮をテーマにした文学は普遍性がない』と言ったことがあります。その言葉が、若い私には骨身にしみて迫ってきました。日本文学は上位文学で在日朝鮮人文学は下位文学という、帝国主義的な発言でした。私の一生は、想像力を武器にして、日本語で朝鮮を書くことができるということを証明してきた過程でした」

 済州4・3抗争を描いた大河小説『火山島』で第1回李浩哲統一路文学賞を受賞した在日同胞の作家・金石範氏(<キム・ソクポム>93・写真)は、このように語った。18日昼、ソウル恩平区(ウンピョング)のある飲食店で記者団と会った彼は、『火山島』の執筆過程と「朝鮮籍」にこだわる理由、ろうそく革命後の韓国社会と南北関係などについて、率直かつ情熱的に意見を述べた。

 「『火山島』の第1部を書くときは、4・3に関する資料がほとんどない時でした。4・3当時、そこにいなかったという罪悪感で小説を書き始めたが、これを書くためにも一度は生まれ故郷の土を踏み、山河の匂いも嗅ぎ、漢拏山もこの目で見なければならないが、そうできなかったという恨みを抱いたまま小説を書きました」。彼は「4・3直後に日本に密航した親戚の叔父から地獄のような拷問の惨状を聞き、絶句するほど大きな衝撃を受けた」とし、「その時の打撃が私に小説を書く力を与えた」と強調した。当時の衝撃と悲しみが今でも鮮やかであるかのように、涙声であった。

第1回李浩哲統一路文学賞を受賞した大河小説『火山島』//ハンギョレ新聞社

 「日本文学は私小説が主であり、政治を取り上げると下等な文学と蔑視する風潮があります。私は最初からそこから脱却し、4・3のような政治的テーマを扱いました。政治と闘えないから純文学に逃げた作家がいるでしょう。私は政治に対抗して闘いながら今まで書いてきました」

 彼は、南でも北でもなく分断以前の朝鮮半島全部を指す「朝鮮」籍に依然としてこだわっているが、国籍問題で悩んでいる在日同胞の若者にはあえて朝鮮籍にこだわる必要はないと助言すると述べた。「私自身は思想として朝鮮籍を守るが、若い人たちは必要ならば大韓民国の国籍を取得すればよいと言います」

大河小説『火山島』で「第1回李浩哲統一路文学賞」を受賞した在日同胞作家の金石範氏=写真チェ・ジェボン記者//ハンギョレ新聞社

 「『ハンギョレ』とは、南と北に分けない南北すべてを指す言葉」と言った彼は、ハンギョレの記者に「今回私が受けた李浩哲統一路文学賞のように、ハンギョレ新聞も統一に向けた新聞ではないですか」と、笑って話したりもした。

 「北朝鮮内部で革命が起こる可能性はあるが、外部から侵攻したり干渉することはできません。北朝鮮政府の成立過程自体は合法的だったからです。いつか平和統一がなされるためにも、解放空間の歴史の立て直しが必要です。李承晩(イ・スンマン)のような者を国父として迎える状態ではだめです。歴史の立て直しは非常に難しいが、結局はその方向に向かわなければならず、また向かうと信じています」

文・写真/チェ・ジェボン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/811448.html 韓国語原文入力:2017-09-18 21:05
訳M.C(1589字)

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