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米国のB-1B武力誇示に同意した大統領府…揺れる“平和”原則

登録:2017-09-26 01:31 修正:2017-09-27 07:33
「事前協議で緊密協力」と発表 
文大統領の国連演説と矛盾 
専門家ら「韓米協調にこだわるあまり 
北朝鮮との衝突のリスクを負うのは無責任」
今月25日午後、大統領府の与民館で開かれた大統領主宰の首席補佐官会議で、文在寅大統領が冒頭発言をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 米国戦略爆撃機B-1Bが23日夜、北朝鮮東海の空域で武力誇示を行ったことについて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がすでにニューヨーク訪問中に米国と関連事実を協議したと、大統領府が25日に明らかにした。米国の「独自の武力誇示」をめぐり波紋が広がったことを受け、「堅固な韓米協調」を強調したものだが、国連総会基調演説では「過度に緊張を激化させたり、偶発的な軍事的衝突で平和が破壊されることがないようにすべき」として、「安定的状況管理」を強調していた文大統領が、朝鮮半島の緊張を高めるB-1Bの“最北端の飛行”に同意したのは、矛盾と言える。

 文大統領は同日午後、首席秘書官・補佐官会議で、今月18~22日の訪米外交について、「北朝鮮の核とミサイル挑発に対する国際社会の強力な制裁と共に、平和的原則を再確認した」と自評した。大統領府のパク・スヒョン報道官は、B-1Bによる北朝鮮接近飛行について、「文大統領がニューヨーク滞在中にリアルタイムで報告された事項である。 韓米間の十分な事前協議が行われ、緊密な協力のもとに作戦が遂行された」と強調した。またパク報道官は、今回の作戦が米国ニューヨークで開かれた韓米首脳間の合意だった「米国の戦略資産の展開拡大」と関連があり、米国だけの単独作戦だった点に関しては「NLL(北方限界線)を遵守するレベルで韓国軍は参加しなかった」と付け加えた。米軍の戦略資産の展開など対北朝鮮対応で韓米間の意見の相違がないことを強調するための説明だったが、文大統領はニューヨークで「平和的解決策」を説破する一方で、米軍主導の軍事的強硬対応にも同意したことになる。

 米国の戦略爆撃機B-1Bによる武力誇示は「国際社会の強力な制裁」の範囲を脱しており、米国が自ら明らかにしたように、「(北朝鮮の)いかなる脅威も撃退できる多くの軍事オプション」(米国防総省のデナー・ホワイト報道官声明)の中の一つに近いものだ。米国の武力誇示が北朝鮮を交渉のテーブルに引き出すための圧迫の性格が強いとしても、韓国は偶発的衝突につながるリスクを負ってまで米国の行動を容認したのだ。今回の決定で、文大統領は、8・15記念演説から21日(現地時間)の国連総会の基調演説まで強調してきた「北朝鮮核問題の平和的解決」原則を毀損したのではないかという議論を自ら招いた結果となった。文大統領は、国連で「平和」という言葉を30回以上も使いながら、「戦争を経験した地球上唯一の分断国家の大統領である私にとって、平和は人生の召命であり、歴史的責務」としたうえで、「韓国政府と国際社会は、北朝鮮が国連憲章の義務と約束を違反しているにもかかわらず、北朝鮮の核問題を平和的な方法で解決するため、全力を尽くしてあらゆる努力を傾けている」と強調した。

 平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は「見方を変えると、ドナルド・トランプ大統領が何をするかわからないからこそ、米国の一方的軍事行動を阻止するための韓米協調という枠組みにこだわっているようだ」としながらも、「しかし、国連で平和を語るのと、北方限界線にまで近づいて武力誇示を行うことに合意したのは、互いに衝突しており無責任でもある」と批判した。 慶南大学極東問題研究所のキム・ドンヨプ教授は「韓米協調の維持と朝鮮半島の平和を同時に実現しようとするツートラックの努力とも言えるが、これまでの文在寅政権の動きを見る限り、このような戦略的アプローチというよりも、二つを区別することなく混用しているため、互いに矛盾して空転しているものと見られる」と話した。

キム・ボヒョプ記者、パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/812494.html 韓国語原文入力:2017-09-25 21:55
訳H.J(1803字)

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